第7章 聖戦
第170話 シュラスブルグ城潜入
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テイン王家より救い出された。
そう言う筋書きに成っているらしい。
確かにこれなら違和感はない。それに、トリステインの魔法学院には出自のはっきりしない蒼髪の少女タバサは間違いなく存在して居たし、更に言うと、彼女は黒髪黒い瞳の少年を召喚して見せたのもまた事実。この辺りも嘘や間違いではない。
何ともはや、厄介な事態に成っているのだが……。少なくともこの発表の配役を少し変えると、これがほぼ事実であるのは間違いないのだから。おそらくトリステインの魔法学院の関係者に聞いても、俺と強く関わった人間たち以外はこの程度の情報しか持ち得ないと思うので、誰もこの発表が事実と異なる……とは証言出来ないでしょう。
まして、ガリアの方としてもこの発表に対して此方の知っている真実を発表する事は難しいので……。
少なくとも俺が偽の王太子である事をばらす訳には行かない。まして、今、俺の傍らに居る少女がオルレアン大公の遺児なら、そのアルザス侯の元に居るシャルロット姫は何者だ、と言う説明も同時に為さなければならない。
確かにその部分に関しては無視をする、と言う方法もあるにはあるが、それでは説得力と言う物に欠ける。
ただ……。
ただ、そうかと言って真実を公表。故オルレアン大公が、実は自分が王位に就くのに邪魔になるからと言う理由で、産まれたての双子の赤子の片割れを捨てて仕舞えるような犬畜生にも劣る存在であった、などと言う事を公式に発表出来る訳がない。
何故ならば、これは流石に死者の名誉に関わる事でもある。まして、捨てられた赤子の方には何の罪もないのに、その親の罪によってタバサやシャルロットがいわれなき誹謗中傷に晒される可能性が高い。
親の因果が子に報い……と言う事なのだが。ただこの故オルレアン大公シャルルの行いは人間として非難されて当然の行為であるのは当たり前として、貴族としての度量と言う点に於いても、彼の為した事は非難される可能性が高いと考えられる。
少なくとも自らが王として頂く人物が迷信深く、少しの不吉の兆しなどで心を動かされるような相手だった場合、その王に対して臣下がどう思うかを考えると簡単に分かろうと言う物。少なくとも王を目指す心算ならば、そのような部分にも本来ならば心を配るべき。
王には王に相応しい風度と言う物がある。こんな少しの事にびくつくような小物臭い男に本気で傅く臣下など現れるはずはない。
おそらく、ロマリアの目的にはその辺り。折角、ひとつにまとまろうとしているガリアに、国内の混乱を長引かせる為の火種を放り込む事も含まれているのでしょう。
おっと、イカン。そう感じて少し愚痴めいた思考をリセット。そもそも故オルレアン大公に関しては俺がこの世界に関わる前に既に起きて仕舞って居た事実だけに、今ここでどう
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