第7章 聖戦
第170話 シュラスブルグ城潜入
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ラグランジュポイントに浮かんでいる小惑星がリュティスに向け落下を開始する可能性が有る以上、シュラスブルグの城門を攻めるなど下策も良いトコロ。中の策は実現性が高いし、実際有効だとは思うけど、ランスヴァル卿の言うように俺には実行出来ない。
あの段階で八割までシュラスブルグに真面な生者が居る可能性はゼロに等しい……と考えて居たのは事実。しかし、残りの二割は自身の探知能力を疑っていたのもまた事実。それに、ここにはタバサの妹も囚われている上に、トリステインの魔法学院より彼女を助け出したシャルロット姫の親友と名乗る赤毛の少女も居るらしい。
最悪でもシャルロット……タバサの妹だけは生きている。虚無の魔法が行使出来るのは生者だけだったはずだから。
ならば、夜陰に紛れて城に侵入。小惑星召喚用の術式を行使させられている可能性の高い、正気を失った状態のタバサの妹シャルロットを救い出し、ついでにアルザス侯爵を捕まえる、と言う作戦しか方法はないでしょう。
まぁ、あまり過去に囚われて居ても良い知恵が浮かぶとも思えない。そう考え――
「どれぐらい前に死亡したか。それも分からないのか?」
タバサの召喚した魔狼に倒された兵士を調べていた湖の乙女に対して問い掛ける俺。
「不明」
しかし、首を横に振る彼女。
但し、この俺の問い掛けも異常ならば、それに対する彼女の答えもまた異常。何故ならば、この兵士たちは先ほどまで確かに動いていたのは事実。
死亡したのは先ほど。俺たちに襲いかかろうとして、逆にタバサの召喚した魔狼に倒されて終った瞬間が正しい答えのはずなのだが……。
「何らかの作用で心臓が動いて居たのは間違いない。しかし、もしこの兵士たちが先ほどまで生きて居たと仮定した場合、この兵たちは外気温と同じ体温で人間が活動していたとしか思えない」
今、俺の周囲は風の小さき精霊たちの作用により気温は快適とは言えないまでも、それでも活動に齟齬が発生するような気温ではない。
これは当然、城に侵入する際に空気に何か侵入者を無力化して仕舞うタイプのガスなどが混入されている危険性や、そもそも、俺たちが動く事によって発生する音や気配から、俺たちが城内に侵入した事を敵に気取らせない為の処置でもある。
但し、それは俺たち三人の周囲、大体十センチ以内の事。それ以上に離れた場所は、このハルケギニア世界のアルザス地方の冬の夜に相応しい気温である事は間違いない。
おそらく現在の気温は氷点下二、三度と言うトコロだと思う。
……と言うか、これでは血液でさえ凍る。筋肉も真面に動かせる訳もなく、関節を無理に動かそうとすると、普通の場合、其処から簡単に折れて仕舞う事でしょう。
成るほど、矢張りここには――
「シュラスブルグ城が近付くに従って
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