第7章 聖戦
第170話 シュラスブルグ城潜入
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答えの指し示す先について、当然、彼自身もとっくの昔に気付き、疑問に思いながらも、敵……アルザス侯も同じガリアの貴族であり、騎士である。……と言う思い込みから、その答えに目を瞑り続けて来た事に対して少しの陰気を発するランスヴァル卿。
「俺が作った剪紙鬼兵と同種の物を人間の死体を用いて作り出す外法も存在する」
まして、そもそも、その隕石を落とす為に必要とされる魔力をアルザス侯爵は一体、何処から融通しているのか。少なくともこの近辺の霊脈……と言うか、ガリア国内すべての霊脈は今、ガリア王家が精霊との契約を交わしているので、それ以外の魔法使いが乗っ取る事はほぼ不可能。この辺りの謎と、俺の探知能力や、ランスヴァル卿の配下が調べて来た情報が指し示す方向は――
「しかし、アルザス侯は四つの系統魔法すべてを極めた俊才。流石に全住民を生け贄にして魔法を発動させるような真似を……」
そう言い掛けてから、俺を見据えるランスヴァル卿。確かに真っ当な騎士なら、と言うか、真面な人間なら同じ人間を生け贄にした儀式魔法など出来る訳はない。しかし、相手は魔法が使えないような存在を自分と同じ人間だと考えない奴。
ましてコイツの目的がタバサの予想通り俺への復讐。絶対の自信を持っていた。ある意味、奴のアイデンティティの源であった魔法の模擬戦で、その魔法を全力で使用する奴を、表向きは魔法を一切使用する事もなくコテンパンにのして仕舞った俺に対する復讐と考えるのなら、それは俺だけが目標などではなく、あの場に居たすべての存在に対して向けられている。
自分を笑い者にしたすべての存在に対する復讐。
……そのような暗い情念も当然、転生を行う際の一助にはなる。俺としては迷惑千万な話なのだが、それでも止めてくれ、と言える立場にはない。
「流石にその策も実行する訳には行きませんな」
かなり難しい顔をしたランスヴァル卿がそう断じる。しかし、その直後に表情を崩した。
そして、
「それにそもそも、王太子殿下御自身にその策を為す心算がない以上、出来る、出来ないを論じる以前の問題だと私は思いますが」
確かに、殿下の見立て通りシュラスブルグの民がすべて居なく成っていたとしても、殿下がシャルロット姫を見捨てられるとはとても思えないのですが。
「で、殿下一押しの上の策と言う物を聞かせて頂けますかな?」
☆★☆★☆
何故、俺と今、アルザス侯爵の元に居るシャルロットとの間に繋がりがある事をランスヴァル卿が知っていたのか少し疑問なのですが……。
結局、昼の間に交わされた会話により厳選されたメンバーによるシュラスブルグのアルザス侯爵の邸宅への侵入……と言う策が採用される事と成りました。
もっともこれは当然の帰結。そもそも一言の呪文だけで
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