ブレーン達は舞台袖で幕間の余興を見る
[6/6]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
勝つことなど不可能という絶望を与えるだけのことだ。それこそが最後の戦いの前座に相応しいだろう」
サファイアは何か語ろうとしたのを切り捨てられたにも関わらず、小さく笑みを浮かべる。ドラコやジェムを嘲笑う悪魔のようにも、誰かを楽しませることに憑りつかれた亡霊のようにも見えた。オーロットを影が吸い込まれるようにボールに戻る。
「……先制したみたいですが、ドラコに勝つ見込みはあるんですか、ダイバ」
ジェムを抱きしめるアルカが問う。一昨日の夜ダイバのメタグロスの一撃をあっさり躱し続けたにしては随分大人しい立ち上がりだった。ダイバは苦い顔で応える。
「……少なくともあのチャンピオンは自分から急いで攻め込むことはしないし圧勝もしない。観客が飽きないようにぎりぎりの勝負を続けてる。多分今もそうだよ」
「典型的な強者の戦い方ですね。……それでも二十年もゴーストタイプだけで勝ち続けるって、どういう理屈なんですか」
ポケモントレーナーが所有するタイプを絞るのは多数のポケモンを育てやすくし、また理解を深められるメリットがあるが当然対策されやすく弱点もかぶりやすいデメリットも多い。アルカはポケモンバトルという競技については素人だが、それでも手持ちが全て毒タイプで構成されているためその辺は理解している。アルカのように弱者として誰かと狙い撃つ分にはメリットが大きいが、チャンピオンのような対策されるのが当たり前の立場の人間にとってはデメリットが重くのしかかるはずだ。
「先制したのはドラコか……俺様もチャンピオンのバトルはもう十年以上まともに見てねえ。今のあいつはそんなえげつねえのかよ?」
「えげつない……と言えばそうだね。素人のお客さんたちにはわからないだろうけど……あれより恐ろしい戦い方は僕も見たことがないかな」
バトルタワーの天辺でエメラルドがジャックに聞いた。ジャックは倒れたオーロットを見ても何も感じておらず番狂わせに期待もしていないようだった。それに対するジャックの答えは、奇しくもダイバのアルカに対する答えと全く同じものだった。
「「一言で現すなら……死に物狂いの特訓も、綿密に練り上げた対策も等しく無力化する。そんな感じの強さだよ」」
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ