暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティアを駆け抜けて
ブレーン達は舞台袖で幕間の余興を見る
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「ダイバ君も強かったけどね。ただ……いくら覚悟があっても、負けたことのない子っていうのはやっぱり脆いかな」

 敗北を知らないということは勝てない相手との戦いも経験がないということだ。ダイバのメガシンカに対抗するために様々な策を練ったジェムに対し、ダイバは相手の策を読み切ろうとはしていても根本的に上から力で叩き潰そうとしていた。その差が勝敗を分けた結果は概ね想定の範囲内だ。エメラルドとしてはダイバが勝つと思っていたが、サファイアは昨日ジェムが勝つだろうと何の不安要素もなさそうに言った。

「坊……あんたはあの嬢ちゃんのことが大事なんじゃなかったのかよ」
「勿論だよ。でもね……僕は彼女にチャンピオンの志を継ぐ存在になってほしいんだ。それに、さっき言った通りジェムはまた立ち上がれるって信じてるからね」

 ジャックの表情は、まだ十にも満たない子供の姿とは思えないほど老獪で、今この光景すら楽しそうに見ている。信じがたいことだが、自分以外の人間にはこの状況に異存はないらしい。エメラルドの許可なくここから出る術はゴコウにはないし自分と同じブレーン三人を相手にして勝てる自信はさすがになかった。ジェム達を信じるしかない状況に歯噛みするゴコウ。

「で? てめえはこの勝負はどっちが勝つと思う? 同じ協力者どうしとして、お前はドラコと一戦交えたんだよな」

 エメラルドはゴコウの事をもはや意に介さず聞く。ジャックはそんなエメラルドに嘆息しつつも、画面の中のドラコを見た。

「竜の子は強いよ。ホウエンの元四天王を父親に持ち、幼い頃から元四天王の友人であるキンセツジムリーダーの元でジムトレーナーとしての修行に明け暮れた女の子。今は四天王やジムリーダーとは違うドラゴンタイプの使い手として自分のスタイルを確立してる。さっき半分の力も出してないって言うのは誇張だしジェムやダイバ君とやったときも本気ではあったけど……あの子は二人の先を行ってる。僕のレジギガスを正面から堂々と倒しきったからね」

 ジェムのラティアスの攻撃をいくら受けてもびくとも揺るがなかったジャックが操る最強の伝説ポケモン。それをドラコは自分の鍛えた竜たちで真っ向から打ち破ったとジャックは可たる。

「……でもまあ、やっぱり。今のチャンピオンが負けるトコは想像できないかな。だって彼はもう……」
 
 ジャックは含みのある言葉でホウエンチャンピオンを見る。オーロットとシャンデラを繰り出したチャンピオンの瞳は、全ての光を飲み込む深海のように蒼く暗かった。







「やはりシャンデラを出して来たか……ならば戻れリザードン」

 シャンデラは炎タイプの攻撃を無効にする『もらい火』の特性を持つポケモン。それを見てドラコは一旦自身の相棒で
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