ブレーン達は舞台袖で幕間の余興を見る
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黒幕をぼんやりと見ていた。ずっと真剣に戦って、やっと手にした栄光が自分の父親によってそうなるように仕向けられていた、いわばレールの上を走っていたにすぎないと言われて傷つかないはずがない。ジェムと直接本気で戦い合ったゴコウの立場だからこそなおそう思う。
「文句なら俺の息子とチャンピオンに言いやがれ。あいつらがネタ晴らししなきゃジェムにも心置きなくチャンピオンに戦ってもらってたさ」
「そういうこっちゃねえだろうが! 儂はバトルダイスでの事しか嬢ちゃんに何があったか知らねえがよ……嬢ちゃんはすげえ一生懸命だったんだぜ。それをよ……!」
ゴコウが壁を思い切り殴る。二メートル近い巨漢の拳の音が部屋に響いたがエメラルドは動じない。むしろ一笑に付した。
「だから面白いんじゃねえか。ポケモンバトルってのはそういうもんだろ? 競技であっても遊びじゃねえ。人間とポケモンが織りなすドラマってやつだ。それをちょいとコントロールして演出しただけだ。それがジェムにも伝わったのは意外だが……まあさすが俺の息子だな。これはこれで盛り上がったし後で褒めとくか」
「てめぇ……!!」
ゴコウはポケモンバトルでは相手を騙すこともあるしトリックも使う。だがそれはあくまで真剣勝負のためだ。ゴコウの白塗りの顔が赤く染まりに手持ちの花札型のモンスターボールに手をかけようとする。ネフィリムはそれをにこにことに見つめていた。勝負になってもエメラルドが絶対に負けない自信があるからだ。
「ちょっとちょっと、すとーっぷ! 気持ちはわかるけど落ち着いてよ、ゴコウおじさん」
ゴコウとエメラルドに文字通り割って入ったのは、フーパによる金色のリング。そこからぬるりとジャックが這い出てきて、フーパと一緒に部屋の中に現れた。ゴコウが少し驚き、エメラルドがため息を吐く。この部屋はエメラルドの許可したものしか入れないのだが、ジャックの操る伝説のポケモンには何ら関係がなかった。
「またテメエは勝手に……様子次第じゃまたジェムのところに助けに行く手筈だろうが」
「いいじゃありませんか。これでジェムちゃんと戦ったブレーンは集まったんですしのんびり見届けましょう?」
「そ、僕が出ようかと思ってたけど竜の子が言うべきことは言ってくれたし……ジェムはもう僕がいなくても乗り越えられる。彼女は僕の命を救った恩人の娘で、僕の弟子なんだから。僕達の出番は終わり。後は子供たちに任せておくよ」
ジャックもジェムを騙していた立場の一人だから、こうなることはわかっていた。その上で、彼女の味方であるための布石を打っていた。一昨日サファイアにバトルを挑み、負けることでシンボルを渡しドラコにそれを伝えたのはこのためだ。
「ああそうかよ。ったく、賭けは結局あいつの勝ちか」
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