出逢い
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ベリルと名乗った青年貴族は、知人の別荘に逗留しているが、この辺りは悪魔が出没し、その影響で野性動物たちも凶暴化している事、そのため暇潰しも兼ねて狩りに廻っている事を手短かに説明した。
「もう大丈夫ですよ。私がついていますからね」
そう言って、ソフィアに微笑む彼の笑顔が眩しい…
学習院の神父様やエクソシストとは異なる雰囲気を纏った青年に差し出された手に、無意識に自分の手を重ねる。途端、不意に動悸が早くなるのを感じて、思わず身をすくめたが、その理由はソフィアには分からなかった。
一方、ベリルは先程ソフィアが指差した木立に向かって、エスコートするようにゆっくりと歩き始める。片方の手には、不釣り合いな空のミルク缶を手にしながら…
「「ソフィアったら、どこに行ってたのよっ!!」」
2人から怒声に近い声が投げ掛けられたが、ソフィアの脇に立つ青年を見て、口をぽかんと開けながら固まってしまった。
「ど…どうしたのよ……」
「ソフィアさんが鳥に襲われていたのを、助けて差し上げたんですよ、お嬢さん方」
ニコッと微笑むベリルに、敵う女性は皆無といっていいだろう。それほどまでに端正な顔が笑顔の表情をとれば、強力な精神攻撃となる。
「こちらの方は、ベリル様と仰って、近くの知人の所に逗留なされてるらしいの…」
ルゥとべティに紹介するソフィアの声が、いつもよりか細い。頬も少し上気しているように見えなくもない。普段と違うソフィアの様子に、ただならぬ気配を感じたが、ベリルの容姿はそれこそ『容姿端麗』であるものの、2人の好みではないのか、ふぅんといった感じでまじまじと観察している。
「これは、どうすれば良いのですかな?」
見れば繋いでいるのと反対の手には、ミルク缶が携えられていた。勿論、ソフィアの反対の手にはコップが3つ。
「あっ……。とりあえず、そこら辺に置いてもらって結構ですっっ」
それまで、ずっと手を握られて、横に立っていたまだったソフィアはすっと手を下ろすと、はベリルに向かい合って見つめ返す。
(吸い込まれそう………)
ベリルは相変わらず笑みを絶やす事なくソフィアを見つめていたが…
「ちょっと、ソフィア〜。いい加減に出発しないと夜になっちゃうわよ〜」
べティの声ではっと我に返る。
「おや、伴も連れずレディ3人だけで、どちらへいかれるのですか?」
「エレバンです……」
「そのような辺境に?」
「はい。私達はこう見えてエクソシストなんです。といっても、最近叙任されたばかりの新米なんですけど」
「おやおや、それでは私が赴任の邪魔をしているようなものではないですか。
これは失礼しました、レディ…」
そう言うと、向き合っているソフィアの手を取り、恭しく甲に口づけする。
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