黒衣を狙いし紅の剣製 04
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「……もうじき……もうじき計画は最終段階に移せる」
クロエの戦闘技術はそのへんの魔導師を遥かに凌ぐレベルに到達している。
あの小僧は一部では黒衣の魔導剣士と称され、一流の魔導師なのだろうが……クロエには勝てるはずがない。
「何故なら……」
クロエはただあの小僧に勝つため。あの小僧を倒すためだけに作った存在なのだから。
しかもただ倒すわけではない。あの小僧が最も得意としているのは近接戦闘。そこで倒してこそ、私が完全に勝利したと言える。
そのために……私は高い金を払い、絶技を持つ名もなき英雄の遺伝子を手に入れたのだ。
最初は性別が女だったことに驚き、落胆もしたが……あれはオリジナルを超える素質を持っていた。故に絶技は回避不可能の技へと昇華したと言える。
金も時間も掛かる高い買い物になってしまったが、結果的に言えばあの小僧を倒すには最高の作品になったと言えるだろう。
「まあ……何度も襲えば対応されてしまうのだろうがな」
戦闘経験に関してはあの小僧の方が上だ。
何度も手の内を見せれば対処されてしまう可能性は高いだろう。だが……クロエとあの小僧が戦うのは一度だけ。故に小僧がクロエに攻略することは不可能に近い。
「あとは……私のデバイスが完成すれば準備は終わる」
しかし、デバイスを完成させるには……憎たらしいがあの小僧の研究を見学しなければならない。
デバイス研究においてナイトルナの血に劣っているのは理解している。が、だからといってあの小僧にまで劣っているなどと……そう考えるだけで腸が煮えくり返りそうだ。
「自分が行っている研究は秘匿するようなものではない? ふざけるな! こっちが下手に出ていれば調子に乗ったことを言い寄って。貴様も心の中では私のことをバカにしていたのだろう。自分よりも長生きしているにも関わらず、結果も残せていない無能だと嘲笑っていたのだろう!」
許さん……許さんぞ小僧。
必ず貴様を痛い目に遭わせてやる。父親や叔母の力を借り、何の苦労もなく今の地位に就いている貴様がどれだけ無能なのかを骨の髄まで教え込み、これまでのような生活ができないようにしてやる。
そのためには……苦汁を舐めることになるが、貴様のデバイスの見学だってしてやろう。
聞いたところによれば、《人間らしさ》などという父親のくだらん思想を継いでそれを1番にしているそうだが……研究する環境だけで考えればトップレベルなのは間違いない。あの小僧が無能でも他がアシストすれば良い作品が出来上がるだろう。
入手した情報によれば、あの憎き魔女の教え子達と一緒に研究しているそうだからな。あの女の教え子となれば、無能と一緒だろうと結果を残すだろう。あの魔女は……そういう類の人間なのだ
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