黒衣を狙いし紅の剣製 04
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昔からのことやけどそういうんは直した方がええで。クロエちゃんもそう思わんか?」
「うーん……確かにそうだけど、多分お兄ちゃんって好きな人にはちょっかい出したいタイプというか。仲の良い人にしかそういう態度取らないだろうし、私としてははやてさんが羨ましいと思うわ」
「え、い、いや……それはそうなんやけど」
照れたような顔でこっちをチラチラと見てくるな。別にそんなつもりでやってるわけじゃないから安心しろ。……まあ誰にでもするのかと言われたらしないとは思うが。
「クロエ、あんまりはやてをからかってやるな。ふざけてるように見えて意外と純情なところもあるんだから。元文学少女だしな」
「誰が元やねん。今でも文学少女や」
いや……本は読んでいるのかもしれないが、少なくとも少女ではないだろ。すでに成人しているわけだし。
「もう、お兄ちゃんから誘ったくせにすぐにはやてさんとイチャつくんだから。もう少し私にも構ってほしいんだけど」
「別にイチャついてるつもりはないんだが」
「本人達はそうでも周りからはそう見えるの。それに……私のことはクロって呼んでって言ったのに全然呼んでくれないし」
顔を背けてしまうあたり、どうやら機嫌が悪くなっているらしい。何というか……パパ呼びを毎度否定している俺に見えるヴィヴィオの顔に似ている。
ただヴィヴィオの場合は毎度のことであり、あの子はすぐに機嫌が直るのだが……この子の場合はどうしたらいいか分からない。ただ少なくとも呼び方に関しては要望に従うべきだろう。
「分かった。悪かったよクロ……だから機嫌直してくれ」
「……もう、仕方ないな〜。今回までは許してあげる。でも……今度また違った呼び方したら怒るからね」
「はいはい」
「あのねお兄ちゃん、私はそこまで気にしないけどそういう返事はやめておいた方がいいわよ。女の子ってお兄ちゃんが思ってるよりデリケートなんだから」
おっと……クロにまで乙女心を説かれるようなことを言われ始めたぞ。
ただなクロ、一般的にはデリケートなのかもしれないが……俺の周りに居る異性っていうのはトラウマになってもおかしくない威力の砲撃を撃ったりする連中なんだぞ。中には模擬戦をしたがる戦闘マニアもいるし。俺の心の方がデリケートだと思うんだけどな。
「……あ」
不意にクロの視線が俺から外れる。
その視線を追ってみると、そこにはアクセサリーを売っている露店があった。ネックレスからブレスレットまで色んな形のものが売られている。
「このハートの可愛い〜」
「同年代よりも大人びとるけど、クロエちゃんもまだまだ子供やな……このタヌキさん、めっちゃええやん!」
何でここにもタヌキがあるんだよ……まあリアルじゃなくて可愛いイラストタイプではあるけど
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