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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜 外伝
黒衣を狙いし紅の剣製 04
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今はこのへんで考えるのはやめておこう。

「分かるわけないだろ。お前が乙女がどうかも怪しいし」
「ちょっ、それはいくら何でも言い過ぎや。いくら社会の荒波に揉まれてる私かて傷つく時は傷つくんやで。もう少し優しくしてくれてもええやないか」
「余裕がある時ならともかく、あれこれやらないといけない時期にふざけられたら優しく出来るわけないだろ」

 ユーリと行っているアルトリアやジャンヌといった人型デバイスに関する研究に、レヴィがシュテルから引き継いで行っている魔力変換補助の新システム。それにシュテルと進めている新カートリッジの研究……とやらなければならないことは山ほどある。
 はやてに弱音を漏らしても仕方がないとは分かっているが、俺は義母さんのようないくつもの研究を同時に順調に進められる天才ではないのだ。この世界に居るとあの人の凄さが身に染みて分かってくる。日常生活においてはダメ人間だが。

「私の誘いに乗ってくれたからあれやと思ってたけど、あんま上手く行ってないみたいやね」
「否定はしないが……何でお前の誘いに乗ったら上手く行ってないことになるんだよ?」
「そんなん決まっとるやん。上手く行ってるなら休憩でも研究所から離れんやろうし。むしろ休憩なんかせんで一段落するまでやりそうやしな」

 私のこと誰やと思ってるんや。ショウくんの幼馴染やで。
 みたいな顔で見るのはやめてほしいんだが。人っていうのは自分のことを理解してもらっていると嬉しいと思う生き物ではあるが、時として理解されていると恥ずかしいと思う部分もあるから。

「ショウくん、何や顔が少し赤くなってる気がするんやけど〜」
「うるさい。というか、前を見て歩け。誰かにぶつかったら……ぁ」

 その瞬間――。
 不意に建物の影から小さな人影が現れたのが見えた。後ろ向きに歩いているはやてに気づいている素振りはなく、このままではぶつかる。そう思った俺は反射的にはやての手を握ると自分の方へ抱き寄せた。

「っと……」
「え……ちょっ、きゅきゅ急に何するん!? こ、こういうんはせめて人目の付かないところで……!」
「バカ、とりあえず落ち着け。そういう意味でやったんじゃない。人とぶつかりそうだったんだよ」

 どうやら理性は残っていたらしく、はやては「人と……?」と呟きながら小首を傾げると後ろを振り返った。
 そこに居たのは、黒のニーソックスに丈の短いデニムパンツ。黒のノースリーブの上に白いジャケットを着崩している褐色の少女。桃色を帯びた白髪と褐色の肌、その特徴からしてあの少女に間違いなかった。

「クロエ……」
「あらお兄ちゃん、こんなところで偶然ね」
「ああ……お前、こんなところで何してるんだ?」
「何って見たまんまよ。パパは普段は研究ばっかだから街をブラブ
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