黒衣を狙いし紅の剣製 04
[11/11]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
ったんだからよ。ちゃんと気持ちよくしてやっから。何なら順番も決めさせてやろうか?」
「そんなもの決めなくていいわ。全員まとめて掛かってきなさい」
その強気な発言に男達は一瞬動きを止めるが、すぐに下衆な顔を浮かべた。だがクロエは表情ひとつ変えず、冷たい眼差しを向けると――
「トレース……オン」
――静かにそう呟き、男達の前から姿を消した。
いや……男達の目では彼女の動きが終えなかったのだ。それ故に気が付いた時には……最初に声を掛けてきた男以外は地面に伏していた。出血などは見当たらないが完全に気を失っている。
「な……な、何だよてめぇ!?」
「何って……ただの可愛い小学生だけど?」
「ふ、ふざけんな! てめぇみたいな化け物がただの小学生なわけあるか!」
そう言って男が逃げようと背中を向けた瞬間、クロエは男の目の前の上空に居た。
思いっきり男を踏みつけて地面に倒すと、両手に持っていた白と黒の夫婦剣を逆手に持ち替えて勢い良く振り下ろす。
「ひ……!?」
二振りの剣は男の顔ギリギリを掠めただけで直撃はしなかったが、あまりの恐怖に男は泡を吹いて気絶していた。
一方的にやられた男達をクロエは冷たいめで見下しながら、手に持っていた剣を遊ぶように回転させて投げる。
「まったく……せっかく良い気分だったのに。どうせ社会的にもいらない人間だろうし……いっそ殺しちゃおうかな」
そう呟いたクロエの目には、一切の呵責も良心も見当たらない。平気で人を殺せる目をしている。
「でも……こんな人間でも殺したら騒ぎになるし、返り血でせっかくお兄ちゃんが買ってくれたアクセサリーが汚れたら最悪ね。だからこれくらいで勘弁してあげるわ」
遊ぶように剣を投げながらクロエは歩き始める。その顔は先ほどまで変わって穏やかだ……だが
突然左手に持っていた黒い剣を壁に向かって放った。しかし、深々と突き刺さった剣には目もくれずクロエは首元にあるアクセサリーを強く握り締めている。
「ほんと……運命って残酷よね。知り合って間もない私にあんなに優しくしてくれるお兄ちゃんを……夜月翔を私は殺さないといけないんだから」
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ