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ドリトル先生と悩める画家
第七幕その七

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「薔薇には青いものを抑制するものがあるんだ」
「薔薇自体にですな」
「その細胞レベルでね」
「そうだったんですか」
「だから青い薔薇やチューリップはなかったんだ」
 今までそうだったというのです。
「それを遺伝子改良をしていって」
「造ったんですか」
「そうなんだ、長い時間と努力をかけて」
「大変だったでしょうね」
「青い薔薇は有り得ないものという意味でもあったからね」
「それだけですね」
「存在し得ないものとされていたんだ」
 先生もその青薔薇達を観ています、他の薔薇達とは明らかに違ったその色の薔薇達をです。
「どうして生み出すのか」
「そのことについて」
「長い間多くの人が取り組んで戦ってきて」
「そしてですね」
「ようやく生み出されたのがね」
「青薔薇なんだ」
 こう太田さんにお話するのでした。
「そして青いチューリップなんだ」
「成程」
「悩んで苦しんだ」
「何度もチャレンジしてですね」
「生み出されたものだよ」
「それじゃあ」
 ここまで聞いてです、太田さんは先生に言いました。
「僕もですね」
「そうだね、悩んで苦しんでね」
「何度もチャレンジしてですね」
「スランプから抜け出るものだから」
「そうですね。まあ僕の場合は」
 太田さんは窓の外のお空も見ました、見ればお空は今もどんよりとしていて鉛の様な雲が果てまで広がっています。
「お天気がですからね」
「それの影響を受けてだね」
「スランプになっていると思いますから」
「天候は気分に影響するからね」
「実際にそうだからですね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「お天気が続くとね」
「また違いますね」
「うん、けれど気候はね」
 このことについてはです、先生は苦笑いでお話しました。
「まだ人間の手ではね」
「どうしようもないですね」
「そう、そうしたことはね」
 どうしてもというのです。
「まだ何も出来ないよ」
「だからですね」
「そう、そのことは待つしかないよ」
 お天気のことはというのです。
「残念だけれどね」
「そうですね、けれど」
「それでもだね」
「スランプを抜け出るには早い方がいいです」
「それでだね」
「はい、何とか」
「そう意気込んで頑張ると」
 先生は太田さんに微笑んでお話しました。
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