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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十三話 第七次イゼルローン要塞攻防戦(その3)
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えた。遠征軍は否応なくイゼルローンに誘引されたのだ。実際には遠征軍はヴァレンシュタインが用意した別働隊に後背を衝かれることになるだろう。
そして駐留艦隊も挟撃すれば勝てるという誘惑に引き摺り出された。要塞主砲(トール・ハンマー)の射程内という絶対安全な巣穴から引き摺り出されたのだ。遠征軍が不利になればなるほど駐留艦隊は退く事が出来なくなる。味方を助けるために留まろうとして損害を増大させるだろう。
本来、敵は各個に撃破するのが用兵の常道だ、だがヴァレンシュタインはその逆を行おうとしている。自らを囮に敵を一か所に集める事で撃滅する……。蟻地獄だ、ヴァレンシュタインはイゼルローン回廊に巨大な蟻地獄を作ろうとしている。
遠征軍五万隻、駐留艦隊一万五千隻、それらを全て飲み込む巨大な蟻地獄……。急がなければならない、俺の艦隊が要塞に着くまであと七日、間に合うだろうか? 絶望が胸をどす黒く染め上げた……。
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