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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十三話 第七次イゼルローン要塞攻防戦(その3)
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インはあの小僧を天才だと評していた。笑止な事だが、その天才が来ることを知って敢えて危うい道を選ぶだろうか……。
有り得ない、あれは何とも腹立たしい小僧だが手を抜くような男ではない。となれば、ミューゼルの小僧が来るまでにこちらを撃破する何らかの手段を講じているはずだ。一体それは何か……。
……やはり挟撃だろう、反乱軍には別働隊がいるのだ。だがその戦力は決して大きくは無かったのだ。伏撃、足止めをするには不十分な兵力だが挟撃用なら、背後から敵を衝くなら十分な兵力……。
三個艦隊なら正面から戦える、二個艦隊なら伏撃、足止めが可能だろう、となると一個艦隊か……。なるほど、反乱軍には司令官が新しくなった艦隊が参加していると要塞から報告が有ったな。司令官が変わったのはもう一個艦隊有ったはずだ。挟撃用の艦隊はそれだろう。
戦場がイゼルローン回廊なのも説明がつく、此処なら前後から敵を挟撃しやすい。伏撃、足止めが無かったのは偶然でもなければこちらが躱したのでもない。必然だったのだ。反乱軍はイゼルローン回廊内での艦隊決戦を狙っている。
クラーゼンの馬鹿め、反乱軍に遭遇しなかったのを喜んでいる場合か! こちらが反乱軍を挟撃しようとしているように反乱軍もこちらを挟撃しようとしているのだ!
どうするか……、お互いに相手の後背を衝き合う形になるがこうなると兵力が多い分だけ反乱軍が有利だ。……止むを得んな、ミューゼルの小僧の力を借りるか。不本意ではあるが負けるよりはましだろう。一週間だな、一週間堪える。少々厳しいがそこは戦術能力で補うしかない。
「前方に大規模な艦隊を発見!」
考え事をしているとオペレータが悲鳴のような声で報告してきた。おそらくは反乱軍だろう、こちらの接近を知って迎撃に出てきたか。上手く行けば各個撃破出来ると考えたのだろうな、悪い考えではない。それにしても大規模? 何を考えている!
「大規模とはどういう事だ、正確な数字を出せ!」
私が叱責するとオペレータが赤面して俯いた。全く、最近の若い連中は報告一つまともに出来んのか、情けない。
「閣下、約七万隻です!」
七万隻、その言葉に艦橋の空気が瞬時に緊迫した。
「シュ、シュターデン少将、どうする?」
どうする? 戦うに決まっているだろう、それとも降伏でもすると言うのか? 情けない顔をするな、卿は総司令官だろう!
「直ちに戦闘準備を命じてください。それと一部隊を後方に置いて反乱軍に備える必要が有ります」
「後方だと?」
キョトンとしたクラーゼンの表情が癇に障ったが何とか抑えた。
「我々が反乱軍を挟撃しようと考えているように反乱軍も我々を挟撃する可能性が有ります。それに備えなければなりません」
「一部隊と言っても誰を置く」
「メルカッツ副司令長官にお願
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