暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
食事の予定は……

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ら、こう……

――カシワギせんせー!!! こんばんわぁぁああああ!!!

――夜戦いくよ!! せんせー!!! やせんやせんやせぇぇえええん!!!

 とこんな具合で、こっちのメンタルと鼓膜に致命的なダメージを与えてくるほど元気で圧力があって、覇気がある川内なのだが……

「お前、何かあったか?」
「? いや? 別に……ないけど……」
「そっか。ならいいけど……妙に元気がないからさ」

 今日のこいつからは、覇気や圧力はおろか、夜戦への情熱や鼓膜へのプレッシャーといったものは感じられなかった。なんというか……昼間の神通さんが、さらにおしとやかになった感じというか……

「ま、今日は授業の後でせんせーとの夜戦が控えてるから、それに向けて、力を貯めこんでるんだよね」
「アホ」

 口ではそういう川内なのだが……いつものにじみ出る煩さというものが感じられない。どうした。もっと跳ね返ってこいよ。お前がそんなのだとこっちの調子が狂う。

 川内の様子に不満を感じながら、川内をいつもの席へと案内する。パソコンの電源を入れ、OSを選択したら、立ち上がるまでの間、今日習うところの確認を行った。

「んじゃ今日やるとこだが……川内、テキストは?」
「……」
「川内?」

 ぼんやりとOSが立ち上がる様子を眺めていた川内が、俺の呼びかけにハッと気付いた。

「ん? なに?」
「テキストは?」
「あ、ちょっと待ってね……」

 慌ててバッグの中に手を伸ばし、中からテキストを取り出す川内の様子を見ていて、俺はある異変に気付いた。こいつの目が妙に眠そうで、トロンとして重そうだ。こいつ、今までにこんな眠そうな目してたことあったか? 今眼の前にいる川内に対する違和感が、大きく強くなってくる。

 テキストをペラペラとめくる川内。今日やるところのページを開くと、モニターの方を向いてマウスを握り、Wordを立ち上げる。やはり目がぼんやりしている。どこかおかしい。

「せんせ?」
「お、おう……。えと、今日やるのは、写真を貼り付けた活動報告書だ」
「うん。予習しといた」
「おっ。おーけいだっ」

 川内の手元のテキストを見る。赤や青のボールペンでいたるところにメモ書きがなされ、蛍光ペンでマーキングされていた。こいつが予習をしていたというのは事実だろう。このメモ書きとマーキングまみれのテキストが、それを物語っている。

 だが。

「あれ? せんせ?」
「ん?」
「えっと……『余白』ボタンって、どこあるんだっけ?」
「『ページレイアウト』だー」
「ありがと」

 いつもなら、『夜戦してよねッ!!?』と俺を追い詰めていく片手間で出来ていたはずの余白設定だが、やはりというか何というか、今日はまったく出
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