食事の予定は……
昼
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「先生。ワシが昨日作った『夏祭り計画表』が真っ白けになっとるんだけど……」
「ほいほい?」
ぷるぷると震えるコウサカさんにそう言われ、俺はコウサカさんと共に震えながら画面を見る。……なるほど。言われてみると、確かに真っ白けで、昨日俺と一緒に作った、夏祭りのタイムテーブル表の姿形がまったく見当たらない。これじゃただの白紙の紙だ。
「おかしいですね……俺も保存した瞬間を見てましたし……」
「そうだよねぇ……」
コウサカさんは俺の方を、震えながら不思議そうな顔で見る。昨日、あれだけ苦労して表を仕上げ、四苦八苦しながら紙の右下隅っこに、三角形の『夏祭り抽選会参加券』を作ったコウサカさん。俺に対し、プルプルしながらも『いやぁ、苦労したけどもうすぐ完成ですなぁ!!』とうれしそうな笑顔を見せていたコウサカさん。そんなコウサカさんの笑顔も、今は見る影もなく、しょんぼりと落ち込んでいる。
コウサカさんが、震える右手でマウスを操り、『夏祭り計画表』を保存した瞬間は俺も震えながら見ていた。確かにコウサカさんは常日頃プルプルと震えているが、その操作に間違いはなかった。
「んー?」
もう一度、ファイルを開くダイアログを出してみる。そして『夏祭り計画表』の保存日時を確認してみた。
「……?」
違和感がある。保存したのは昨日のはずだ。それなのに、保存した日時が今日……もっというと、つい3分前の時刻になっている。
「コウサカさん」
「はいはい?」
おれは、コウサカさんが開いている、真っ白けになってしまった『夏祭り計画表』に、一行だけ『うおおおお』と文字を入力し、そのフォントサイズを最大に設定した。超巨大な『うおおおお』は、なんとも言えない存在感がある。その存在感あふれる『夏祭り計画表』を、俺は再度上書き保存した。
今から俺とコウサカさんが行うのは、検証だ。
「一回Wordを閉じて、もう一度開いてみましょうか」
「はいー。でもなんで真っ白になったんだろう……?」
コウサカさんは眉を八の字型にして、震えながらWordを立ち上げた。Wordが立ち上がるまでの間、震えながら画面を眺める、俺とコウサカさん。コウサカさんのメガネが、震えのため少しだけズレ始めていた。
やがてWordが立ち上がった。コウサカさんは何食わぬ顔で新規の『白紙の文書』を選択し、何も入力されてない白紙の文書を開く。つづいて……。
「んじゃ、さっきの『夏祭り計画表』を開きますねー……」
と震えながら宣言し、何の迷いもなく『名前をつけて保存』の項目を選択していた。そのまま保存ダイアログで『夏祭り計画表』をクリックし、そのまま『保存ボタン』を押す。
――上書き保存してよろしいですか?
「よく分からんけ
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