暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
食事の予定は……

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微笑みをなくすという……」
「い、一体、どうすれば……!? この海域では、私たちは敗北するしかないということですかソラール先生!?」

 色々とおかしなことになってきた。たかだか絶対参照を忘れただけで世界が崩壊するというのなら、すでに世界は何兆回も崩壊しているはずだ。深海棲艦との戦争も終結してるし、世界は平和そのものだというのに。

 しかし、やっぱ神通さんって、あのアホの妹だけあって、どこか妙なんだよなぁ……。優しくていい人ではあるんだけどさ……。

「では神通、もう一度はじめからやり直そう。世界に太陽を取り戻すためにッ!!」
「はい! 仲間の命を救うため……この海域で無事に生き延びるため!!」

 太陽と神通さんの仲間の命って、絶対参照で救えるんだと、俺は妙に関心した。それは隣のコウサカさんも同じだったらしく、俺とコウサカさんは、互いに顔を見合わせる。震えながら。

「ではいくぞ」
「はい……ゴクリ……」
「神通、もう一度計算式を作ってくれ」
「はいッ……!!」

 ソラール先輩の指示が終わると、キーボードを叩くパチパチという音が聞こえてきた。神通さんが計算式を入力しているようだ。その音からは迷いや困惑はない。

 そして、カチリという左クリックの音が鳴り響いた瞬間である。

「そこだッ!!」

 ソラール先輩の大声が教室内に轟いた。

「ひゃいッ!?」
「はうッ!?」

 聞き耳をたてていた俺とコウサカさんが、ソラール先輩の声に驚いてしまい、思わず二人揃って声を上げてしまう。震えながら。

「コウサカさん! しぃー!! 向こうの邪魔になりますからッ……!!」
「いや、しかし先生だって声を出して……!!」

 この時、俺とコウサカさんの二人は、あまりにびくっとしてしまい、手を握り合ってしまっていた。この事実は、みんなには内緒にしておこう……そして俺達が震える手でお互いを支えあっている間も、向かいの授業は続く。

「そ、ソラール先生!?」
「そこだ神通!! セル指定をしたら、そのタイミングでf4を押すんだ!!」
「は、はい!!」
「違う!! fと4を一緒に押すのではない!! ファンクションキーの『f4』だ!!!」
「はい!!!」

 俺はパソコン歴はもうかなり長い。Excel歴もそれなりにある。だけど、こんなに熱く絶対参照の設定を行う人というのは、初めて見た気がするよ……。確かに重要な設定だし覚えておいて損のない操作だけど、そこまで熱く語るものではないと思いますが……?

「そしてf4を押したら、計算式を確認してみてくれ」
「セル番地に……ドルマークがついている……?」
「その通り。これで、火を継いで世界を救う準備が整った」
「こ、これで……みんなを助けることが……
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