第39話<天国か地獄>
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の提督や参謀にいえることだ。
変な話、私のような人間よりも隣に居る深海棲艦たちの方が艦娘の「真の姿」を知っているかも知れない。まして今日の夕立や日向は艦娘の地上戦だ。かなり貴重な光景だろう。
だが私は考える。そんな昨今の人間と艦娘の関係……彼女たちが前線へ行き人が後方に居るという構図は果たして好ましいのだろうか?
ふっと後ろで警戒を続ける日向とミラー越しに目が合った。彼女は少し微笑んだ。そしてミラー越しにチラチラと私を見てくれる。
そう、私のように出来の悪い指揮官であっても全幅の信頼を寄せてくれるのが艦娘だ。今見る日向の純粋な眼は、それを象徴している。
「そうか、そうだよな」
ハンドルを握りながら私は呟いた。
「?」
日向は周りを警戒しながらも私の言葉に少し首を傾げた。
私は思う。人間……特に海軍の軍人(指揮官)は彼女たちを裏切ってはいけない。どこまでも運命共同体であり一蓮托生なのだ。
そう思えば普段、なかなか共に戦うことのできない彼女たちと、こうやって地元、境港で共に走り抜ける経験。
今日という日は私にとっても海軍に於いても記憶すべき歴史的な一日だ。大げさだが心からそう思うのだった。
そんな私の隣には海軍(人類)の敵も居るんだが……まだ泣いているのか? こいつ。
そして日向は相変わらず派手にピラピラと腰周りをはためかせている。
「うーむ」
それは彼女に言うべきか否か? そのうちに海岸線が近づく。
(もう時間がない!)
私は突然決意した。
「そうだ艦娘たちには隠し事をしないようにしよう!」
「……」
訝しがる日向をよそに私はアクセルを緩めると幹線道路に出る交差点の手前で軍用車を停車させた。
すぐに周りを警戒。今のところ大丈夫だ。後ろの日向は……おお! 停車すれば、お前のスカートは、ちゃんと重力に従ってくれるんだな。
(当たり前だ。私はつくづくバカみたいだな)
「司令?」
彼女は後ろの銃座で不思議そうな顔をしている。
「日向……その何だ」
私は振り返りつつも彼女の顔を見て、ただ苦笑するばかりだ。
「実に言い難いのだが、お前には隠さないことにする」
「はい?」
相変わらず不思議そうな表情の日向だった。
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