第39話<天国か地獄>
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ほぼ一直線に銃弾の光点が次々と刺さっていく。なるほど夕立もソコソコ上手いが日向はもっと上手だ。
走行中の軍用車からの射撃は難しい。それを振動や風圧にも関わらず真っ直ぐ撃つ技術は、さすがだ。
やがて正面の敵機は日向の放った機関銃の餌食となる。
「やった!」
日向が叫ぶと同時に黒い機体は火花を散らして派手に爆発し空中分解した。百発百中とは、まさに、このことだ。
海上では魚雷も打ち抜くという日向の正確な射撃能力は海軍でもピカイチだ。敵もそんな彼女の標的にされたのが運の尽きだな。
「よし!」
ガッツポーズは出なかったが日向は会心の笑みを浮かべている。実は私も彼女の勝どきの声を聞くのは初めてだ。
それでも夕立とは違って過度に感情的にならないのは冷静な彼女らしい。
しかし日向が任務に忠実なのは有り難いが私には目の保養か毒なのか?そのスカートのピラピラは何とかならないものか?
いや、鼻の下を伸ばしている場合ではない。私が車を停めようと思った次の瞬間、撃墜された敵機の直ぐ後ろから別の機体が現れた。
「編隊か!」
まぁ当然だろう。
「……」
落ち着いた日向は冷静に標的を捉え容赦なく攻撃を再開する。
やはり、さっき夕立が射撃した時よりも日向の発射音は小さくて低い。タマの種類が違うこともあるが、それ以上の何かがある。
銃器ってのは意外とデリケートだ。ちょっとした扱いやメンテの差で作動全般に差が出る。
ましてや日向の機銃操作は完璧だ。当然そこから紡ぎだされる動作音にも、違いが出るのだ。
彼女が教官になったら、きっと優秀な生徒がたくさん生まれるだろう。そう思いつつ上空の敵機を見る。機銃を浴びた機体は、まだ堕ちずにそのまま私たちの頭上を通り抜けて後ろへと過ぎ去った。
「ハル!」
振り返りつつ日向が叫ぶと妖精が応える。
「ラジャー!」
待ち構えていた上空の瑞雲2機が、日向の撃ち洩らした敵機に次々と襲い掛かる。結果は明白だ。直ぐに後方からはズゴンという低い音と共に派手な火柱が上がった。
重低音が響きミラーには黒煙が立ち上っているのが確認できた。
「あ……」
落ちたのは、お台場公園かなあ? そういえば市街戦で敵機の落下場所の心配を忘れてた。
しかし艦娘たちは、いざ戦闘になると有無を言わせない迫力がある。日向のパン○ラも凄いが、それを怪しからん物と感じさせない勢いだ。
そういえば私は艦娘艦隊の提督でありながら彼女たちの実戦の場……つまり闘っている姿を現場(肉眼)でほとんど見たことがない。
そもそも現代の海軍において艦娘たちがリアルに戦う姿は他所でも、ほとんど知られていない。昨日の神戸が言っていた「戦う姿を初めて見る」というのは大げさでなく全て
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