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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第五八話 
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うなアホに自分のところの拳銃の試し撃ちをさせる酔狂な軍隊などあるはずもあるまい。」
「―――それは俺のことを言ってんのかよ。」

「他に誰がいる阿呆。」

端的かつズバッと急所に暴言を突き刺す忠亮、ユウヤの蟀谷に青筋が浮きだっては踊り狂っている。

「――――こっちもイタリアの赤い悪魔みたいな奴の試運転させられちゃあ堪んないですがね?」

OTO M35型手榴弾―――通称イタリアの赤い悪魔。
端的に言えば欠陥品の手榴弾であり、安全ピンを抜いても爆発しないことが多く。そのような不発弾はいつ爆発するかわからないため、敵味方双方を震え上がらせたという。


「安心しろ、イタリアの赤い悪魔なのは貴様の脳みそのほうだ。」

しれっと嫌味を罵倒で返す忠亮。

「てめぇ……ッ!!」

視線だけで人を殺せそうなほどに忠亮を睨みつけるユウヤ。忠亮はその瞳に酷い既知感を覚えた。
自らの技量に絶対の自信を持ち、自らの努力と研鑽によって培ったことを矜持とする人間の瞳だ――――嫌いじゃない。

「くくっ、なるほど……筋金入りの馬鹿だな貴様。だが、負けず嫌いで熱心だ。嫌いじゃないぞ。」
「ふざけているんですかね?」

のどを鳴らし笑う忠亮、それに反発するユウヤだが―――唯依は気づく、そこに相手を小馬鹿にする意志が無いことに。


「至って真面目だ。―――良いだろう、相手をしてやる。」
「はぁ?それはどういう……」

忠亮の言葉、しかし戦術機はシミュレーター一つとっても軍の資財であり衛士個人の持ち物ではない。
当然、機体もそうだ。ゆえにたかが士官が戦うと言ったところでそれが実現するわけがないのだ。


「……これから暫しの間、斑鳩大尉がお前たちの教練を行ってくれることになった。後ほど正式通達がなされる事になっている。」
「俺たちが何を教わるってんだ、新兵じゃねぇんだぞ。」

開発衛士は衛士の最高峰の一つだ。優れた腕前を持つ人間だけが選ばれる特別な存在。
それは撃墜王とは似て非なる衛士の最高の栄誉の称号でもあった。


「―――今回の演習で、アルゴス小隊……特に貴様は日本の戦術機に関しては不慣れ、などというレベルではすまないことが露見した。
 よって、貴様らには日本の戦術機の戦術、運用思想に通じる人間による教練無くして今後の計画の進捗は望めないと判断した。」

唯依が告げる回答、それはユウヤたちは日本戦術機に関しては無知もいいところであり、極論を言えば、知識があるだけ新兵のほうがマシだと言われてることでもあった。

苦渋をのむユウヤに忠亮は渾然と言い放つ。

「三日後、演習を組んでやる―――ああ、機体は別に吹雪でなくても構わんぞ。」
「―――なんだと。」

どうせ、まともに扱えないだろう
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