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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第五八話
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げる彼女を目を細めて見下ろす―――たとえ、死んだとしてもこの笑顔だけは決して忘れないと、胸裏に刻み付ける。
強く、強く
俺の中にいる、多くの俺の残滓が思い浮かべるのは守れなかった悔恨。その末路は悲しいものが殆どだ―――それだけではなかった筈なのに。
それだけ強く愛していたのなら、それだけ多くの愛おしいと感じた姿もあっただろうに―――強すぎる憎悪に?き消されてしまった。
反復される末期の光景、それは己に決して同じ結末は歩ませないという決意を齎すけれど―――それはとても、寂しい事だと感じたから。
この笑顔を絶対に忘れたくない、そう思った。
「どうかしましたか?」
「―――ん、いや。久々にお前の笑った顔を見たからな。なんというか、感極まっているようだ。」
「………私もです。」
穏やかな表情で答える唯依。くすぐったいような温かい感触が心を満たす。
それがひどく心地よかった。
「―――取り込み中のところ済まない。」
そんな二人だけの空間に割って入る
声
(
ゆうしゃ
)
。振り向けば白き斯衛軍服に身を包んだ青年、甲斐の姿があった
「どうした?」
「例のブリッジス少尉だが、ソ連軍側のエリアに入ったどころか機密エリアに向かっているらしい。」
それを聞いて、忠亮の表情が引き締まる。軍人としての顔になり……その横にいた唯依の表情が強張った。
数刻の後、格納庫には不貞腐れた面のユウヤが居た。
間一髪、ソ連軍の聴取という名の薬物使用や拷問が行われる前にタリサ達アルゴス小隊の面々を身元引受人として手配して事なきを得た。
無論、ソ連側にも相応の皮算用があったことは必然だ。
「無事に帰れたようだな。」
「……礼は言いませんよ」
吹雪を見上げるユウヤに歩み寄った唯依にユウヤがぶっきらぼうに答えた。
「ずいぶんと器量の小さい男だ。」
唯依が不快に感じたのが手に取るように分かった忠亮が口をはさむ。
「―――っ!」
図星か、奥歯を噛み締めたのがわかった。だが、忠亮には手心を加えるということは無い。
たぶん逆さにして振っても一かけらも出てこないだろう。
「己惚れているようだから先に言っておく、このXFJ計画に於いて貴様を首席衛士へと推したのは唯依、いや日本帝国ではない。
貴様が此処にいるのはアメリカ側の強い要請があったからだ。貴様を首席衛士に於くことは我々の本意ではない。」
「なん…だと……」
ズバズバと言いづらいことを相手の急所に突き刺していく忠亮。
直截簡明を絵にかいたような人間である忠亮の辞書に気遣いという言葉はあんまりない。まずは徹底的に相手をへし折るところから始める。
「当然だろ。拳銃で相手を殴りに行くよ
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