【RB1】
【RB第一話】
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なく。
「カスがバカな事をしてたから懲らしめただけだ。お前を救うのはもののついでってだけだ」
「それでも……クルスはあたしを助けてくれた。あたしはそれが嬉しいんだ……」
にこっと笑顔を見せたアリスに、小さく舌打ちするクルス――視線を逸らし、頭を掻いていると。
「……兄さん」
「な、なんだよ由加」
そんな二人のやり取りを見たアリスは――。
「あ、あれ?クルスって妹居た?」
「あ? ……ああそうか、ちょうどお前と入れ違いだったな。お前が転校した後の四年になった時だな。俺のクソ親父と由加の母親が再婚してな」
「そ、そうだったんだ」
全然知らなかったと小さく呟くアリス、無理もない……転校してから完全に疎遠になっていたのだから。
改めてアリスは隣の由加を見ると。
「初めまして。兄さんの義妹、有川由加って言います」
折り目正しく頭を下げる由加に、アリスは。
「は、初めまして。加川有栖です。よろしくね?」
「はい。ですが……兄は渡しませんので」
「え……?」
互いに握手を交わし、何やら小さな声で喋る由加。
クルスは呑気に欠伸をしていたが――。
「な、何でクルスを渡さないって――」
「言葉通りの意味です。兄に近付く悪い虫は、私が排除しますので」
「わ、悪い虫って――」
「ええ。兄には私がついていますので悪い虫は必要ないのです」
そんなやり取りの中、アリスは直感した。
この子はクルスとあたしの間に立ち塞がる障害だと――。
「では兄さん。そろそろ行きましょう、彼方でクラス表が貼られてる筈ですから」
「だな。アリス、もう泣くんじゃねぇぞ」
するりと自然にクルスの腕を取る由加、クルスは歩きにくくて仕方なかったのだが――。
「あ、あたしも行くっ! てか良いでしょクルス?」
「……好きにしな」
「へへっ、じゃああたしも!」
そう言って空いたクルスの腕を取ったアリス。
二人に挟まれたクルスは――。
「離せ。歩きにくい」
「良いじゃん。久しぶりに会った幼なじみと一緒に歩けるんだよ?」
「兄さん。可愛い義妹がこうして歩くなんて事は貴重ですよ?」
二人はそう言うが、本当に鬱陶しいと感じているクルスは傷付けないように振り払う。
「けっ、さっさと行くぞ。あんなんじゃ歩きにくいしな」
ずかずかと先に歩くクルス、二人は置いていかれないように後を追った。
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