悲しき少女の思い出は
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うになる。
肩を震わせていると、目の前に座っていた黒髪の女性が立ち上がり、ソフィアの横にやって来る。
「ソフィア、よかったら私たちと暮らさないか?」
「え・・・」
最初は何を言っているのかわからず、声の主を不思議そうな目で見上げているソフィアだったが、カグラはそんな幼女をギュッと抱き締める。
「私たちが家族の代わりになってやる。ここにいるみんながな」
ギルド内にいるたくさんの女性たちをソフィアは見回す。みんな彼女の話を聞いていたらしく、優しげな眼差しを向けていた。
「うぅ・・・」
その優しさに幼女は再び涙を溢す。今までの絶望に包まれた涙ではなく、嬉しさのあまり、溢れてくるものを抑えきれなかった。
「よろしくな、ソフィア」
「カグラさん・・・」
自身を優しく抱き締める少女に対し、それに応えるように抱き返す。まるで姉妹のような二人のその姿に、人魚たちも嬉しそうに笑みを溢していた。
それから数ヶ月、カグラたちが面倒を見てくれたこともあり、ソフィアの心の傷も少しずつ癒えてきていた。
「カグラさん、今日は何をするの?」
「そうだな・・・」
ソフィアはギルドのみんなと仲良くなっていったが、仲でもカグラと親しくなっていた。その理由は、亡くなった姉に似ているからというのが大きいところなのかもしれない。
「ソフィアも元気になったね」
「そうだね」
初めて会った時からしばらくは、ずっと泣いてばかりでなかなか心を開いてくれなかった。しかし、今となってはそのことが遠い昔のように感じる。
仲良くギルドから出ていく二人の姿をギルドの全員が見送っていると、二人が見えなくなってから、数人があることについて話し始めた。
「ねぇ、ソフィア髪変じゃない?」
「やっぱりそうかい?」
その内容は、ソフィアについて。別に悪口を言っているわけではない。ただ、明らかに以前とは変わっているところがあるのだ。
「なんか、生え際が白くなっているような・・・」
真っ黒で艶々な髪をしていたはずの幼女。それなのに、新しく伸びてきているそれが、少しずつ色が落ちてきているのである。初めは皆気のせいかとも思っていたが、今では白い部分が誰の目から見てもわかるほどになっており、心配せずにはいられなかった。
「精神的にやられてしまうと、髪の色が落ちてしまうことがあるらしいよ。もしかしたらソフィアも・・・」
親を失い、大切な姉を失ったその記憶は、彼女の心に深い爪痕を残した。おそらくそれが原因で、彼女の髪の色彩が抜けているのだと感じていた面々。しかし、それは彼女たちがどれだけ優しく接し、心を充たそうとしても、止まることはなかった。そして
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