悲しき少女の思い出は
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わ。もう見当たるところに人はいないし、ここ、あいつの出身地らしいの」
「あいつ?」
誰のことかわからず顔を見合わせる男たち。その二人を「いいから早く」と女性が急かすと、彼らはしぶしぶ従い、その場を去る。
「よかった・・・よかった・・・」
命からがら生還した幼女は嬉しさのあまり涙を流す。それからしばらく泣いていると、あることが気になり、草むらから飛び出してくる。
「お姉ちゃん・・・お母さん・・・お父さん・・・」
息を切らしながら、自分が逃げてきた自宅へと戻っていく。そして勢いよく扉を開くと、そこには絶望的な光景が広がっていた。
「そんな・・・」
無惨に殺害された父と母。二人の体からは大量の血痕が噴出されており、家の壁を赤く染め上げていた。
「お・・・お姉ちゃん・・・」
最愛の姉はどうなっているのか、それを確認したく家の中を見渡す。だが・・・
「あ・・・あぁ・・・」
父と母のすぐそばに、バラバラになっている手や足が転がっているのを見つけ、その場に泣き崩れる。それが姉の物なのかどうなのかはわからなかったが、状況から考えれば、それが誰のものかは小さな少女の頭でも、想像に固くなかった。
それから数日間、ソフィアは誰か村の人で無事な人がいないかを探していたが、それはただ心の傷を抉る結果になるだけだった。
絶望にうちひしがれた少女は涙を溢しながら、楽しかった思い出と悲しい思い出の入り交じる故郷を後にする。
しかし、どこに行けばいいのかあてがあるわけでもなく、幼いこともあり遠くに行くこともできない。日に日に痩せ細っていく少女は、どうすればいいのか、このまま死ぬのかと諦めかけていた時、目の前にあるものが見える。
「・・・お姉ちゃん?」
長くて艶のある黒い髪をした、自分よりも背の高い少女。その後ろ姿が見えた時、折れかけていた心に希望が満ちた。
「お姉ちゃん!!」
死んだと思っていた人物に会えたことに喜びを感じていたソフィアは、嬉しさのあまり後ろからその人物へと飛び付く。
「なんだ?どうした?」
しかし、その人物は彼女の待ち望んでいた人物ではなかった。
「・・・」
「どうした?」
予想とは異なる相手だったこともあり硬直する幼女を見て、訝しげな目をしている黒い髪の少女。すると、次第に幼女の目からボロボロと滴が溢れてくる。
「うわーん!!」
「なっ!?お、おい!!」
何が起きているのか理解できずあたふたしている少女は、泣きわめいている幼女をどうすればいいのかわからずにいた。
「カグラ!!あんた何してんだい!!」
カグラと呼ばれた少女が
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