Side Story
少女怪盗と仮面の神父 45
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（……なんか、ふわふわする）
ほど好い陽光の下で、緩やかな波間に揺られているような。
干したての布団に包まって午睡に興じているような。
そんな、温かく心地好い浮遊感の中。
（……とりあえず、顔面往復平手打ちを一回、直後に握り拳で腹部強打は、確定事項よね。本当は蹴りのほうが得意なんだけど、今は自分の足裏に傷がある分、庇い気味の動きで勘付かれて避けられる可能性が高いし。そうね、さりげなく近付いた所で素早く引っ叩き、驚かせた隙に、身長差を利用して下から上へねじ込み、空高く舞い上がるような一撃をお見舞いしてやろう。さすがの怪物様でも、まさか満面の笑みを浮かべた子供に、いきなり全力でぶん殴られるとは思わないでしょうよ。ふふ……。余裕の大人顔が情けなく歪む瞬間、とーっても楽しみだわあ。泣き顔とか苦痛にうずくまる姿とか、全っ然想像つかない辺りが、滅っ茶苦茶腹立たしいんだけどねっ！）
意識が浮上していると気付いたミートリッテが真っ先に考えたのは。
人類史上でも極めて重大な罪を犯した、アーレストへの制裁方法だった。
エルーラン王子に命令された二度目は状況や立場的に仕方ないとしても、教会での一度目は、おそらく勧誘を持ちかける為に二人きりで話せる環境を作りたかっただけで、それならわざわざ眠らせる必要なんてなかった。
女衆の手綱は既に握ってたんだし、ちょっと工夫すれば、他にやりようはいくらでもあった筈だ。
しかも、事前に断りもなく乙女の無防備な寝顔を衆目に晒させた挙げ句、素知らぬ顔で堂々と覗き込んでくるとか。
これはもう、全世界の女性に対して宣戦を布告したも同然の暴挙である。
聖職者？ 貴族？
だからどうした。
この世に生きるすべての女性の女性としての矜恃を守る為にも、ヤツには他ならぬ被害者の手で、相応の罰を与えてやらねばなるまい。
まったく……間抜け面全開で口をかぱーっと開いてたり、万が一にも涎を垂らしてたらどうしてくれるんだ！
ハウィスだけに見られるのならまだしも、同居もしてない、不特定多数の人間にのんきな寝顔を見られたり、うるさいかも知れない鼾を聞かれて喜ぶ神経は持ち合わせてないんだっての！
あんたも一度、でっかい道のド真ん中で仰向けになって数時間お昼寝してみれば良いわ！ 大勢が見てる中で眠るって行為がどれだけ恥ずかしいか、身に沁みるでしょうから！
…………いや、無理か。
ヤツに一般民の感覚は通用しないんだった。
あの神父なら本当にやりかねないし。なんだったら通りすがりの馬にまで「御一緒にいかが？」とか誘いかける気がする。
そんで、女衆がヤツを囲みつつその道を一時占領して、神父様鑑賞会って名前のまったりとしてのんびりほんのりピリピ
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