Side Story
少女怪盗と仮面の神父 45
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いけど変な方向で怖いお姉さんやお兄さん達に囲まれて。やんちゃでおませな弟妹分達と一緒に遊んだりして。我がままな願いを叶えてくれた上司がいて。可愛らしい友人に恵まれて。こんなの、『幸せ』以外の何物でもないじゃない)
ミートリッテは幸せだ。
こんなに素敵な人達、どこを探したって、滅多にいるもんじゃない。
ネアウィック村を遠く離れても、自分は、誰かに優しくできるみんなを、幸せだと思わせてくれる恩人達に出会えた事実を、別の誰かに誇るだろう。
(ああ、そういうことなんだ。だから、私が身を立てることに意味がある。恩返しになるんだ。私は、最初から間違えていた)
他人から奪い取った物やお金で胸を張って生活できる人間なんて。
ミートリッテの周りには、一人として居ない。
盗人が知り合いにいたとして、誰が誰に自慢できるというのか。
誰を『幸せ』にできるというのか。
自分との出会いを誰かに誇ってもらえるような、そんな人間になろう。
あなたが居てくれて良かったと。
あなたに出会えて幸せだと。
そう思われるような人間になろう。
(それこそが私に与えられていたもの。みんなに返すべきものだったんだ)
見知らぬ他人を愛せるハウィスの優しさを。
大切な人を護り抜くベルヘンス卿やエルーラン王子や騎士達の力強さを。
迷える誰かを導けるアーレストの気高さを。
いつか出会う、現在は知らない誰かの許へ届けたい。
自分自身が、みんなのような人間でありたい。
別れを惜しんでくれる義母の涙声を噛みしめながら。
心からそう、思った。
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