Side Story
少女怪盗と仮面の神父 45
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、海鳥の元気な鳴き声が忍び込んでくる。
改めて確認するまでもなく、明らかに人間本来の活動期……昼日中だ。
普通に寝て起きたと考えるなら、せいぜい十時間かそこらだろうが……
「……丸二日と、約半日」
「やっぱり、か」
予想通りの普通ではない答えに、呆れ模様の苦笑いが零れ落ちた。
「その間、ほとんど寝てなかったでしょ」
「え?」
「目の下、真っ黒になってる」
きょとんとするハウィスのこめかみに右手を伸ばし。
クマが浮き出ている目尻を、親指で軽く撫でる。
心なしか、お肌のハリもよろしくない。
この程度なら、本格的な医学には疎いミートリッテにも一目で分かる。
完璧な寝不足の症状だ。
「ダメだよ、寝られる時にしっかり寝とかなきゃ! 睡眠不足は万病の源。甘く考えて無理を続けてたら、情緒不安定とか食欲不振とかから始まって、しまいには体力や思考力や判断力の低下に繋がるんだからね。水分は十分に摂ってた? 食事は? まさか、一日に一食分どころかビスケットの一枚も食べてなかった、とは言わないよね?」
「つ、ついさっきまで領主の仕事が忙しかったのよ! 実働部隊の業務でも新しく覚えなきゃいけないことが山ほどあるし、それにっ」
「忙しいなら尚更、休息を疎かにしちゃダメでしょう。徹底した食事管理と適切な運動を組み合わせた計画性のある減量ならともかく、そんな不健康な痩せ方してたら、せっかくの美貌が台無しだよ??」
「美貌って……。私は別に、どう」
「どうでもいいとか言うつもりなら、家にある食べ物という食べ物を全部、お腹の中に無理矢理詰め込んでやるからね。泣いて謝っても、最後の一口を食べ切るまでは、絶対に仕事も外出もさせないから。覚悟してよ?」
ミートリッテが目を細めてじろりと睨みつければ。
ハウィスは気まずそうに顔を逸らし、うつむいた。
「……寝起きのミートリッテが鬼畜すぎる……」
「寝起きじゃなくても当然のことです! 毎日少しでも食べて、短時間でも休憩枠を作ってちゃんと寝るの! 自分の体調なんだから、ハウィス自身でしっかり管理してくれなきゃ……このままじゃ可愛い愛娘はお母様のことが心配で、とてもじゃないけど晴れ晴れしく出立なんてできないよ?」
「! ミー……」
「分かってる。いつまで経っても起きない私が気になって、時間を作っては様子を見に来てくれてたんでしょ? 心配させてごめん。でも、だからって私を気遣うあまりにハウィスが倒れちゃうのは、嫌だよ」
眠り続けたせいか、妙に固くなっている体を強引に動かし。
金色のお団子頭を胸元に引き寄せて、ぎゅうっと抱きしめる。
驚いたハウィスが布団に腕を突っ張り少しだけ抵抗するが、それはほんの一瞬で硬直に取って代わり、やがて嗚咽混じりの弱々しい震
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