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逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 45
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持ちを届けてくれた、不思議な力を持つ人外生物(確定)な聖職者にも。

 「本当に……本当に、ありがとう……」


 「……けど……、……やっぱり、一発は……殴らせて……」
 「え?」
 「だってほら……この世界には、絶対に赦しちゃいけない罪って、あると思うんだ……。具体的には、他人の意思を透明化して強制的に眠らせるとか、問答無用で眠らせるとか、無理矢理に眠らせるとか……ねー……。うん。悪魔の世界へ引き摺り込まれて、生きたまま骨の髄までバリバリ喰われちゃえば良いと思うよー……」
 「ご、ごめんなさい……!」
 (……ぅん?)
 「……すなおぉー。ぶきみぃー……」
 「だ、だって、クナートに桃の果汁を渡して強引に眠らせた時も、バーデルへの避難を勝手に決めた時も、確かに貴女の気持ちは蔑ろにしていたから……。そうよね。怒られても、仕方ないわよね……」
 (ぅんんー……? なんかへ……ん…… ……え。 あれ!?)
 「ちょっ、ちょちょちょ、ちょーっと待って!!? ハウィス!? なんで!?」
 パチッと音を立てて目蓋を開き。勢いよく上半身を起こして見慣れた室内をぐるりと見渡せば、ベッドの左横で木製の椅子に座り、しょんぼり肩を落としている普段着姿のハウィスと目が合った。
 アーレストへの恨み言を呟いてたつもりが、いつの間にか現実のハウィスとの会話になっていたらしいと気付き、全身の血液が一気に凍結する。
 「ご、ごごっ、ごめんね!? 違うの! 今のはハウィスに言ってたんじゃなくて、外見と職で得しまくってる憎たらしいあんちくしょうにねっ!?」
 「……憎たらしいあんちくしょう?」
 「そうそう! 日常的に胡散臭い笑顔と台詞を振り撒いてる、存在自体が嫌味としか思えない、寧ろ嫌味が形になって現れたんじゃないかって感、じ……の…… あれ?」
 不思議そうに首を傾げるハウィスの瞳を覗き込んで、ミートリッテも自身の首を捻った。
 「……ねぇ、ハウィス」
 「ん?」
 「私、どれくらいの間寝てたの?」
 途切れた記憶の最後に刻まれているのは、真っ黒な空に散りばめられた明滅する無数の白い光点。多分、あと二時間か三時間くらいすれば陽光が地平線上に顔を出すであろう時間帯だった。
 今は、室内に居ても眉間に刻まれた浅い皺がはっきり見えるほど明るい。うっすら開いている窓の外側からは、暖かな潮風と涼しげな波の音、海鳥達の元気な鳴き声が忍び込んでくる。改めて確認するまでもなく、明らかに人間本来の活動期……昼日中だ。
 普通に寝て起きたと考えるなら、精々十時間か其処らだろうが……
 「……丸二日と、約半日」
 「…………やっぱり……か」
 予想通りの普通ではない答えに、呆れ模様の苦笑いが零れ落ちた。
 「その間、殆ど寝てなかったでしょ?」
 「
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