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大淀パソコンスクール
様子がおかしい

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…夜戦……ついに夜戦がッ……!!」

 なんつーかなぁ……きっと本人はカレンダー作りに集中してるつもりなんだろうけど……でも頭の中は夜戦しかないみたい。当日、『夜戦には付き合わん』って言っていいものなのか……でもさー……。

「そこで連撃を避けて……撃つッ!! ……撃沈……そして文字列の折り返しッ……」
「……」

 言ってる内容が物騒すぎて、横で聞いてる俺は怖くて仕方ない。もし本当に夜戦をしようものなら、俺はミンチ化確実だ……自分の命を守るためにも、勇気を持って断らなければ……今の俺に必要なものは勇気。Noと言える日本人になる勇気だ。

「えぐしっ!?」

 ダイヤモンドのようにキラッキラに輝いた瞳の川内が、そのままの瞳を見開いたままくしゃみをしやがった。……モニターに唾飛んだよな今……。

「えぐしっ!?」
「ん? 突然どした?」
「んー……わかんない。うれしくて大騒ぎして咳き込んだから、体温が上がったのかも?」

 世の中には温度差アレルギーちゅうものもあるしねぇ。川内って、ひょっとしたらそれだったのかも? あれはキツいらしいんだよね。何かの弾みでくしゃみが出て体温が上がったら、それが引き金でくしゃみが止まらなくなったりするらしい。

「げふんっげふんっ!?」
「まだむせてるのか?」
「うん。でも大丈夫……えぐしっ!? だって夜戦が待ってるからね!!」

 うん。まぁ本人がやる気があるのはいいことだ。俺は一度事務所に戻り、自分のバッグに入れっぱなしのままだった、個別包装のマスクを一つ持ってきた。それを川内にわたし、なんとか唾の拡散を抑止する手段を講じる。

「ほれ川内。使えよ」
「へ? ありがと」
「いいえ」

 包装を破り中のマスクを取り出す川内のほっぺたは、少し赤くなっていた。咳とくしゃみの連続で、少し体温が上がってるんだろう。赤くなっていた川内のほっぺたは、マスクで隠れて見えなくなっていた。

「……えぐしっ!?」
「大丈夫か?」
「だいじょぶだいじょぶ。でもマスクくれて助かったよ」
「俺もこの前はひどい目にあったからな」
「頭撫でられてるせんせー、かわいかったしね」
「アホ言うな」

 ちなみに川内が作っていたカレンダーはというと……川内は大騒ぎしていたその脇でしっかりと作成を進めていたようで、授業が終わる頃には、来月のカレンダーがしっかり完成していた。冬場の夜の嵐の海という、夜戦大好きな川内らしいカレンダーに仕上がっていた。

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「ここで沈没しそうになってる船が、今度の夜戦の時のせんせーの運命」
「やっぱお前、俺の話を聞く気がないな?」
「えぐしっ!?」

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