暁 〜小説投稿サイト〜
大淀パソコンスクール
様子がおかしい

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俺は再びAccessをいじりはじめる。作業はちょうどクエリの作成に差し掛かった。

 しかし、このクエリのシステムが今いちよう分からん……クエリを回す度にパラメーターをこっちで指示する方法は何か無いのか……? こんな些細なことでいちいちマクロを組むハメになるのか……?

「ねーせんせー?」
「んー?」
「大変そうだね」
「んー」

 参考書をペラペラとめくる。どうやら抽出条件の部分に特殊な記載方法をすることで、その都度パラメーターの設定は可能らしい。参考書通りに記入をしてみることにする。えーと……『[従業員IDは?]』と……SQLと違って日本語で打てるから楽でいい。プログラマー失格かもしれんけど、んなこと知るかっ。

「ねーせんせー?」
「んー?」
「この前の看病のお返しほしいなー」
「んー」
「だから今度夜戦にでも付き合ってよ」
「んー」

 記載したクエリを走らせてみる。小さなウィンドウが開き、『従業員IDは?』とメッセージが出てきた。ソラール先輩の従業員IDを入力してみて……ん? ちょっと待て。

 俺は作業の手を止め、川内を見る。キラッキラに輝いた眼差しで、口を半開きにして口角を思いっきりあげ、『うっはぁあ!!』と言わんばかりの満面の笑顔だった。

「川内?」
「ん? なになに?」
「お前、今なんて言った?」
「カシワギせんせーがね! 夜戦に付き合ってくれるって!!」

 ……いやいやいや、俺は『お前、なんて言った?』て聞いたんだけど……? 俺の発言内容なんて聞いてないんだけど……?

「ねえねえいつにする!? いつにする!?」

 うわー……これはこっちの抗議なんか一切聞く気がないぞ……だってもう、るんるん気分が伝わってきますもん……ここで『いや今のは生返事だから無しっ』て言おうものなら……

――そっか……ウソだったんだ……夜戦、楽しみだったのに……

 なんて、それこそ夕方の帰り間際のソラール先輩みたいに、えらい勢いでへこんでフラフラになっちゃうぞ……

 でも、そういやこいつは、ずっと俺に『夜戦やせんやせぇぇぇええん!!!』て言い続けてたなぁ。ガチ艦隊戦は無理だけど……この前の礼も兼ねて、たまには飯に連れてってやるぐらい、バチはあたらんかもしれん。

「……そうだなぁ。この前の看病のお礼もしたいし」
「お? これはひょっとして……?」
「今度の休校日の前の晩にでも、授業のあと飯でも食いに行くか?」
「ホントに? ウソじゃなくてホントに?」
「ほんとに。夜戦は無理だけど……」
「やったぁぁぁあああああ!!! せんせーと夜戦だぁぁぁあああああ!!!」

 俺の言葉を最後まで聞くことなく、椅子から勢い良く立ち上がった川内は、昼間の俺のように両腕で力こぶを作っ
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