4年の時を超えて
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「明日奈。」
下の階から聞こえるお母さんの声。
私はクローゼットを閉めて部屋の電気を消す。
自室を出て階段を降り、1回のダイニングへ向かう。
そこにはお母さんが既に飲み物を飲みながら、タブレット端末を見ながら座っていた。
メイドさんは黙って食器を取り、私に「おはようございます、明日奈お嬢様。」と笑顔で言ってから横を通り過ぎキッチンへと向かっていった。
私は「おはようございます。」と答えてから自分の席であるお母さんの斜め前に座った。
「遅かったじゃない、何してたの。」
「ごめんなさい、服を選んでたら遅くなったの。」
「時間には厳守しなさい、社会に出たら恥ずかしいでしょ。」
「はい……。」
こんなやり取りが毎日続いて、正直私は辛かった。
でもお母さんに勝てるわけがない。
だから黙って反抗せずに聞き続ける。
──きっと、彼がいたら助けてくれるんだろうな……
そんな事を考えながら私はフォークを手に取り、用意された朝食を食べる。
そんな時、沈黙が流れていた部屋にお母さんの声が響いた。
「彼、こっちに来たみたいよ。」
「え……?」
──今、何て言った……?『彼』が来た……?
私は予想外の言葉に驚き、つい勢い良く立ち上がってしまった。
「お母さん!それどういう……!」
「落ち着きなさい、煩いわよ。」
「あ……ごめんなさい」
私は静かに座ってから、もう1度お母さんに聞いた。
「そ、それで彼って……」
「蒼くんよ。」
その名前を聞いた瞬間、私の心臓は跳ね上がった。
何故かは分からない、でも彼の名前を聞いた瞬間に鼓動が早くなってる。
「あ、あおくんは何処にいるの…?」
私は冷静に装いつつ、何とか会うために住んでいる場所を聞こうとした。
でも、私の考えはお母さんにはバレていたようで玄関を指さされた。
「玄関…?」
その時、ピンポーンと音がした。
メイドさんが変わりに出ると「あ、貴方様は!?」という声が聞こえてから急いでダイニングに来て、私たちに慌てて言った。
「あ、あの方のご子息様が……!」
「えぇ、連絡があったわ。」
「え、お母さん?一体誰なの?」
私は訳が分からず動揺していると声が聞こえた。
「お久しぶりです、京子さん。」
「えぇ、4年ぶりね蒼くん。」
「え……あお……くん……!?」
そう、そこには4年前に会って以来会えていなかった幼馴染み。
青と黒色の混ざったアッシュである髪の毛を持ち、身長が高く細身でありながらも筋肉がしっかりと付いている、桜雷 蒼の姿だった。
「久しぶり、明日奈。」
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