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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十二話 第七次イゼルローン要塞攻防戦(その2)
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特に問題は無いと思います」
「ふむ、しかしミューゼル中将が三万隻を率いてこちらに向かっているようだが?」
シトレは両手を組んで顎を乗せている。お得意のポーズでどこか揶揄する様な声とからかうような笑みを浮かべている。性格悪いよな、そんなに予定外の事が起きるのが楽しいか? お前も当事者なんだぞ。
「問題有りません。彼がイゼルローン要塞にたどり着く頃には全てが終わっているはずです」
「うむ」
今度は本当に満足そうな表情を見せた。こいつ、俺を試して喜んでるな。俺が慌てふためくところを見たいらしい、糞爺が。
オイゲン・フォン・カストロプが死んだ、宇宙船の事故による死亡だった。そして息子のマクシミリアンが反乱を起こし討伐された。それを聞いた時には思わず笑ったよ。やはりカストロプ公爵家は平民達の帝国に対する不満へのガス抜きに利用されたらしい。
原作より早い時点での処分だが、まあヴァンフリートで大敗しているしイゼルローンでも勝ったと言えるような戦果じゃなかったからな。この辺が使い時だと帝国上層部は考えたのだろう。つまり俺が奴に引導を渡したわけだ。そして反乱討伐の指揮官はヴァンフリートで敗れたラインハルト……。
ラインハルトは反乱鎮圧に成功し昇進した。元帥府に参集したケスラー達も反乱鎮圧に加わり昇進だ。もしかするとカストロプを潰したのはこのためかもしれない。ラインハルトは今三万隻の艦隊を率いてイゼルローン要塞に向かっている。要塞を守り、俺を斃す為だろう。因果は巡るとは良く言ったものだ。もっとも今回の戦いでラインハルトに俺を斃せるかどうかは疑問だが。
今、同盟軍は五個艦隊で要塞を包囲している。第一、第五、第十、第十二、そしてシトレの直率部隊だ。しかし表向き動員したのは第五、第十、第十二艦隊と直率部隊となっている。第一艦隊はバーラト星系で海賊退治だ。そういう事にしてマスコミの目を誤魔化した。
イゼルローン要塞に対する攻撃は四月二十七日から始め翌二十八日には一旦打ち切った。そして三十日に再開し五月一日に終わらせている。攻撃そのものに目新しいものは無い。これまでの攻撃パターンの集大成の様なものだ。
「D線上のワルツ・ダンス(ワルツ・ダンス・オン・ザ・デッドライン)」を踊りながら帝国軍を挑発する、ミサイル艇を使って攻撃を加える、無人艦を突入させる等だ。派手にやってる割には戦果は少ないし、こちらの犠牲も少ない。
もっとも要塞からは攻撃を受ける度に悲鳴のような救援要請が遠征軍やラインハルトに対して出されている。来援を急がせようとしているのだろう。それ以外はちょっと考えられない。
或いは本当に圧力を感じているのか……。何と言ってもこちらは七万隻だ。こちらが囁いたつもりでも相手は怒鳴られているように感じるという事は十分に有りえる
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