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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十二話 第七次イゼルローン要塞攻防戦(その2)
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つある。反乱軍の奇襲を受ける確率が減ったと思っているのだろうが、困ったものだ、問題はこれからなのに……。
反乱軍が通信妨害をしているせいだろう、イゼルローン要塞からは途切れ途切れに連絡が入ってくる。だがそれでもおおよその事が分かった。それによれば反乱軍の兵力は五個艦隊、七万隻という大規模なものらしい。しかも総司令官はシトレ元帥、配下には第五、第十、第十二等の精鋭部隊が揃っている。
要塞攻防戦は二十七日の午後から始まったようだがかなり激しいものだったようだ。遠征軍でも要塞からの悲鳴のような連絡を何度か受け取っている。しかしイゼルローン要塞は反乱軍の攻撃を凌ぎきった。大丈夫だ、イゼルローン要塞は難攻不落、そう簡単に落ちるような要塞では無い。
今の時点では反乱軍も攻撃を中止し、戦力を再編しているらしい。クラーゼンが安堵の表情を見せているのにはそれも有るだろう。要塞が防戦をしている間は何度も要塞は大丈夫かと煩かった。大丈夫も何もこちらには信じる事しか出来ないではないか、馬鹿馬鹿しい。
状況は厳しいが不利とは言えない。反乱軍の妨害さえ無ければイゼルローン要塞にはあと六日も有れば辿り着くはずだ。そうすれば要塞駐留艦隊と協力して反乱軍を挟撃できるだろう。退路を断たれた反乱軍は壊滅、大勝利は間違い無しだ。
気になるのはミューゼルの小僧だ、あの小僧が三万隻の艦隊を率いて要塞に向かっているらしい。連中はあと十日ちょっとで要塞に着く、我々との差は六日程度だ。間違っても連中より遅れる事は出来ない、あの小僧より先に要塞に着いて反乱軍を叩きのめさなければ……。
もし連中に先を越されるような事が有ればあの小僧は益々付け上がるだろう。オフレッサー元帥を利用して好き放題に軍を動かすに違いない。幼年学校を出ただけの、前線指揮しかしたことのない小僧に何が出来ると言うのだ。こうなって見るとオーディンを早く出たのは正解だったようだ。
問題は遠征軍を足止めしようとする反乱軍だ。ヴァンフリートにはいなかった。となるとヴァンフリートの外で待ち受けているのかと思ったがそうでもないらしい。後方の哨戒部隊からも敵艦隊発見の報告は無い。
残る選択肢はイゼルローン要塞へ戻る途中での伏撃だ、哨戒部隊を前方に多めに配置する必要があるだろう。時間との勝負だ、急がなければならない。イゼルローン要塞の危機を救い、ヴァレンシュタインを補殺し反乱軍を壊滅させる。そうなればその武勲の前に帝国軍人全てがひれ伏すだろう。あの金髪の小僧もただただ頭を下げるだけに違いない。小僧達の鼻を明かす最大の好機だ。
宇宙暦 795年 5月 2日 宇宙艦隊総旗艦 ヘクトル エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
「ヴァレンシュタイン准将、順調と言って良いのかな」
「そうですね、
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