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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第五十二話 第七次イゼルローン要塞攻防戦(その2)
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反乱軍で精鋭部隊と言えば、第五、第十、第十二艦隊だ。司令官はビュコック、ウランフ、ボロディン。彼らが参加しているようなら間違いなく反乱軍は本気でイゼルローン要塞を落とそうとしている。要塞は危険極まりない状況に有る事になる。

逆に彼らが居なければ彼らは遠征軍を狙っている可能性が高い。目の前の七万隻は張り子の虎とは言わないが二線級だろう。……そうか、ビュコック達が遠征軍を潰した後、こちらに合流する、その可能性が有るか……。その場合、反乱軍の兵力は十万隻に近い数字になるだろう。最悪と言って良い。

「司令官閣下、反乱軍は五つの艦隊を動員しています。戦艦リオ・グランデ、戦艦ペルーン、戦艦盤古、戦艦ヘクトルを確認しましたが残り一個艦隊の旗艦は分かりません」

一個艦隊は分からない……。新編成の艦隊だろうか? しかしそんな話は無かったはずだ、となると艦隊司令官が変わった第四、第六のどちらかということか。これが初陣という事だな。士官学校を卒業しておらず兵卒上がりと聞いた、実力を買われての登用だろう、油断は出来ない。

戦艦リオ・グランデは第五艦隊の旗艦のはずだ、戦艦ペルーンは第十二、戦艦盤古は第十艦隊の旗艦、つまり反乱軍は精鋭部隊を送りこんできたという事になる。しかし戦艦ヘクトル? オペレータがわざわざ報告する以上、それなりに意味が有るはずだが一体……。

「……オペレータ、戦艦ヘクトルというのは?」
私の問いかけにオペレータがちょっと困ったような表情を見せた。
「第五次イゼルローン要塞攻防戦時における反乱軍の総旗艦です」
「そうか」

なるほど、そういうことか。第五次イゼルローン要塞攻防戦時の総司令官はシトレ元帥だった。統合作戦本部長から宇宙艦隊司令長官に異動して以前の総旗艦をまた使っているということか。ここへ赴任したのが第五次イゼルローン要塞攻防戦の後だったから分からなかった。このオペレータはここが長いのだろうか、まだ若いところを見ると気が利くのか……。

「卿、名前は」
「ヨハン・マテウス一等兵であります」
「うむ」
今後は注意して見るとするか。

ここに精鋭部隊を用意しているという事は、遠征軍には二線級を当てて時間稼ぎという事だな。遠征軍が何時戻ってくるかでイゼルローン要塞の命運も決まるだろう。もうすぐ戦闘が始まる、反乱軍も時間が無い事は分かっているはずだ。戦いは厳しいものになるだろう。



帝国暦 486年 4月 29日 14:00 ヴァンフリート  帝国軍総旗艦 ヴィーダル   シュターデン



「哨戒部隊からの報告は無いか、シュターデン少将」
「現時点では敵艦隊発見の報告は有りません」
「そうか」

クラーゼン元帥がほっとした表情を見せた。遠征軍はヴァンフリート星系を抜け出しつ
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