300部分:第二十五話 公孫賛、同行を願い出るのことその四
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第二十五話 公孫賛、同行を願い出るのことその四
「それでだ。いいな」
「公孫賛さんもですか?」
孔明はこのことを聞いてだ。ふと話した。
「というとやっぱり」
「むっ、その娘は確か」
「諸葛亮孔明です」
公孫賛が目を向けるとすぐに一礼して返す。その手に扇があるので頭を下げてだ。
「宜しく御願いします」
「水鏡先生の弟子のだな」
「水鏡先生を御存知なんですか」
「話は聞いている」
微笑んで言葉を返す公孫賛だった。
「そういえばまた新しい弟子が来ているそうだったな」
「そうなんですか」
「それで話を戻すが」
またこう言う孔明だった。
「私もよかったらだ」
「はい、行かないといけませんよね」
孔明は公孫賛の事情がわかっているようだった。見ればである。公孫賛はだ。いささか困った顔をしていた。その顔での言葉だった。
「やっぱり」
「うむ、恥ずかしい話だが」
公孫賛は困った顔で話をはじめた。
「幽州は旱魃でな。凶作だったのだ」
「そうですね。私達のいる郡はよかったですけれど」
「うむ、しかし他の郡はだ」
「そうはいかなかったと」
「特に遼東はだ」
その地域はというのだ。
「かなり深刻だ。このままでは民が餓える」
「だから袁紹さんに御会いしてですね」
「米か麦の援助を貰いたい」
話が具体的なものになった。
「そうしたいのだ」
「それなら一緒ね」
また話す劉備だった。
「私達と冀州まで」
「そうさせてもらえるか」
また言う公孫賛だった。
「ここは」
「ええ、わかったわ」
劉備は公孫賛についても納得した顔で頷いた。
「それじゃあ一緒にね」
「いいのだな」
「旅は多い方が楽しいし」
劉備のその癒される微笑みも出た。
「じゃあね」
「うむ、悪いな」
こうしてだった。公孫賛も同行することになった。そうしてである。
一行はすぐに冀州に向かった。その時にだ。不意に目の前に大きな虎が出て来た。
「むっ、虎か」
公孫賛がすぐに腰にある剣に手をかけた。
「すぐに退治せねば」
「いえ、待って」
しかしそれはすぐに劉備が止めた。
「この虎さん何か」
「何か?」
「様子が違うけれど」
こう話すのだった。
「どうしたのかしら」
「様子が違うだと?」
「別に私達を食べようとはしていないみたい」
「そういえばそうなのだ」
張飛は劉備のその言葉に頷いた。
「この虎はただここにいるだけなのだ」
「そうよね。穏やかな雰囲気だし」
「確かにな」
公孫賛もここでわかった。
「この虎は餓えてはいないな」
「けれど何かあるみたい」
一同次々に察していく。
「それだと何が」
「ナコルルがいたらわかるのに」
ナコルルの話が出た。そ
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