第4章:日常と非日常
第109話「夏休みが終わって」
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「分かったわ。次は遠距離からの攻撃と近距離からの攻撃。そしてその連携に対する対処と、武器の扱い方について教えていくわ。」
「色々と細かいから、気を引き締めてねー。」
そう言って、あまり休む暇も与えずに二人は帝君を連れていく。
...アリシアちゃんよりはマシだけど、厳しいなぁ...。
「よっと、座るか?司。」
「えっ?あ、うん。」
隣を見れば、優輝君が御札に収納していたらしい椅子を取り出していた。
お言葉に甘えさせてもらって、私は優輝君の隣に座らせてもらう。
「....ねぇ。」
「ん?どうした?」
「帝君を鍛えるのはいいけど、どうするつもりなの?」
勿体ない戦い方を直すのは分かる。だけど、直してどうするつもりなんだろうか。
それが気になって、私は優輝君に尋ねる。
「どうする...か。...なぁ、司。あいつの顔を見てみな。」
「えっ?......えっと...。」
視力を強化して、特訓を続ける帝君を見てみる。
....いつもと違って、真剣...?
「まぁ、あいつの恋心を利用した形になるんだが、あいつの自尊心を叩き直そうと思ってな。こうして、“恋”のために努力させて、それに僕らが付き合ってやれば、あいつの性格もまともに直せるんじゃないかと思ってな。」
「そっか....。」
皆が...私でさえ、面倒臭いと思った性格の帝君。
その帝君を、優輝君はただ窘めるだけじゃなく、磨き上げているんだ。
...さすがは優輝君。人一人を導くのなんて、朝飯前なんだね。
「...それでも恋心を利用するのは...。」
「あー...僕も罪悪感があるんだよなぁ...。どうするべきか...。」
帝君は今、優輝君が作り出した架空の人物に惚れている状態。
そんなのじゃ、いくら帝君が頑張っても報われないという事になる。
....私も恋している身として、さすがに気の毒だと思う。
「....振るしかないよなぁ...。」
「それは....。」
「正体をばらすよりはマシだろう。」
初恋は実らないもの...なんて聞く事はあるけど、それでも精神的にきついと思う。
でも、一番マシな対処法なんだよね...。
「...優輝君は、振られる人の気持ちを考えた事はある?」
「え、なんだその責められるような質問は...。」
「あ、いやそんなつもりは...。」
「分かってるって。...そうだな、考えてるには考えてるが、理解が及んでいる訳ではない...って言うのが僕の考えかな。」
考えてるつもりでも、それが正しいとは思っていない...優輝君らしいな。
そんな優輝君だから、私は....。
「ただ、僕自身、好意を
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