297部分:第二十五話 公孫賛、同行を願い出るのことその一
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第二十五話 公孫賛、同行を願い出るのことその一
第二十五話 公孫賛、同行を願い出るのこと
一行は冀州に向かおうとする。しかしその時にだ。
関羽はだ。ここでも思い出したのだった。
「そういえばだ」
「そういえば。どうしたのだ?」
葛籠を持っている張飛がその言葉に問うた。
「何かあったのだ?」
「公孫賛殿への挨拶がまだだったな」
言うのはこのことだった。
「それがだったな」
「そういえばそうだったのだ」
張飛もこのことに気付いた。
「あの人がいたのだ」
「白々ちゃんね」
「白蓮じゃなかったか?」
馬超が劉備に突っ込む。一行は平らな道を歩いている。左右には田畑がありのどかなものである。
「公孫賛殿の真名って」
「あれっ、そうだったっけ」
「何かどっかで聞いたんだよ」
また言う馬超だった。
「そういう真名だったよな」
「うむ、そうだ」
趙雲もその真名に頷く。
「あの方の真名はそれだ」
「そうだったよな。何か覚えにくいんだけれどな」
馬超は自分の十字槍を右手に話す。
「あの人のことってな。そもそも幽州にいることだってな」
「忘れてしまうか」
「一応この州の牧なんだよな」
馬超はこのことも話す。
「あの人が」
「殆どの人が袁紹さんって言うのよね」
黄忠もかなり酷いことを言う。
「この幽州の人でも」
「私もそう思っていたわ」
神楽もであった。彼女と孔明だけは得物を持っていない。
「けれど違ったのよね」
「影が薄いというのも困ったものだ」
趙雲は表情を変えずに述べた。
「私も一時あの方のところに身を寄せていたがな」
「今も一応はそうではないのか?」
関羽が言う。
「劉備殿は客将となっているのだしな」
「そうなるか。だがな」
「だが?」
「そのことについての実感はない」
趙雲はこう話した。
「それはだ」
「ないのか」
「厄介になっていた時もあの方のことはな。どうも忘れてしまいそうになった」
「それは失礼だろう」
「失礼だがそれでもだ。どうしてもな」
そこが難しいのだった。
「あの方はどうしても目立てないのだ。それなりに能力もあり悪い方ではないのだが」
「特徴がないのね」
黄忠の言葉はそのものずばりだった。
「要するに」
「そう、まさにだ」
まさにそれだった。趙雲も話す。
「それが問題なのだ」
「けれど挨拶はしていきましょう」
孔明はこのことはしっかりと言った。
「考えてみたらこのまま何も挨拶せずに行くのも失礼ですし」
「そうよね。じゃあ白々ちゃんのところに行こう」
また真名を間違える劉備だった。そしてである。
山に入って暫くして一行が一休みしたところでだ。張飛も葛篭を
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