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第九十一話 軍を反転させ一路帝都オーディンを目指します。
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帝国歴487年11月10日――。
自由惑星同盟全土に衝撃が走っていた。同盟の最高法規である同盟憲章には、全評議員の三分の二以上の賛同があった時、最高評議会議長を辞職させることができるとある。最高評議会議長であるブラウン・フォールがこの賛同によって辞職するのと同時に、シャロンは軍を辞めた。表向きは「アーレ・ハイネセンの敗北の責任を取って。」という事だったため、誰もそれを止め立てすることはできなかった。
市民からの圧力が強く、クレベール中将、ブラッドレー大将、そしてウィトゲンシュティン中将では生贄の羊としては不足だったのであると表向きは解釈された。だが、実際には違うという事が嫌が上でも明らかとなる。
軍をやめたシャロンは即座に政界に進出し、折よく欠員が生じた補欠選挙に勝って評議会の資格を手にし(その評議員は90歳の高齢であり、老衰によって死亡していたと発表されたのであった。)いきなり最高評議会議長に立候補したのである。
まさにホップ、ステップを飛ばして、いきなりの大ジャンプを彼女は決行したのだった。当然世間は唖然とし、誰しもが夢物語であろうと思っていた矢先、彼女が最高評議会議長に就任したのである。公職を辞めてからのいわゆる「除斥期間」を明白に設定していなかった同盟憲章の裏をかいた電撃的手段だった。
その時には評議員の全員がシャロンの魔術にかかっていたほか、首都星ハイネセンにおいても彼女の信奉者が続々と出現していたのである。その勢いはあのヨブ・トリューニヒトをも凌駕してハイネセンはおろか他の多数の星系にまで拡散していた。
表向きは一切変化がなかった。シャロンは就任すると、それ以前からもだったが、各地への遊説に一層力を入れた。それに伴って中央はもちろん地方においても、彼女を特集する番組がふえ、プロパガンダと各地を訪問する彼女の魔力によって彼女の信奉者がパンデミックのごとく広がっていったのは事実だった。
「私が最高評議会議長に就任し続ける限り、自由惑星同盟はさらなる発展を遂げ、帝国を打倒し、そして永遠の繁栄をもたらすことでしょう。すべては皆様の為に。未来永劫私は皆様の為に舞台に立ち続けましょう。」
シャロンの就任演説を聞いたものは、眼の色が変わり、いつの間にか熱に浮かされた様に彼女を指示し始めるのだった。彼女の魔力が同盟市民を支配し始めたのである。
すべては
彼女
(
シャロン
)
の為に――。自由惑星同盟よ、
彼女
(
シャロン
)
と共に永遠なれ――。
いつの間にか同盟市民たちはこの言葉を合言葉として過ごすようになっていた。
最高評議会議長に就任した直後、彼女は様々な改革を行ったが、それは軍に対しても同様だった。彼女の意を汲んだ新・国防委員長であり転生者の一人であるカトレーナ・レインディアによって、早くも軍のシトレ・ブ
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