第80話 銃士X
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「10秒以内にって・・・ここからスタジアムまで結構遠いわよ?どうやって行く気?」
「ああ・・・」
確かにこの距離を10秒以内に移動して、それですぐに死銃を倒すなんて普通は無理だーーー普通はな。
「シノン、今からオレの言うことを信じて欲しい。オレの、システムから外れた能力について」
「システム外の能力?」
そうだ。他人からはどうしても信じられないと思うけど、この戦いで絶対に信じてくれると思う。オレがSAOの中で、外からオレの兄貴ーーー龍星がありがた迷惑で目覚めさせたこの力。
「《オーバーロード》っていう、オレの脳を活性化させる能力なんだ。今まで何回か使ってるけど、システムに組み込まれた能力じゃないし、ゲームのシステムに負荷をかけたとか、データ改ざんとかしてないから、チート行為にはならないみたいなんだ」
「オーバー・・・それって、昨日の予選で《へカートU》の弾を斬った時に何か言ってたヤツ?」
何か不信感というより、不機嫌なのが目立つように睨んでるけどーーーそんなに不服だったのか?
「まあ具体的にどういう能力なのかというと、VRゲーム内での移動速度の上昇かな。多分、音速を越えるスピードに」
「何よそれ、ほとんど無敵じゃない。あんまり信じられないけど、そんなこと出来るんならさっさとあんな奴退場させなさいよ」
「出来たらバンバンやってるよ・・・」
バンバンはやらないけど、何のデメリットもなかったら、今頃とっくに死銃を倒してるよ。でも、そんないい話はこの世にはないんだよなーーー
「ここから《オーバーロード》のデメリット・・・というか、リスクについて説明するよ。脳を活性化させると、その分の負担をかけるんだ。5秒から・・・10秒くらいかな?それくらいだったらちょっと頭痛いかなって程度で済むけど、それ以上は負担が強くなる。1日に2分以上使うとしばらく寝込むかな。前にそれで5日間は寝てたよ」
「えっ・・・それ以上、使い続けたら?」
「さあな。オレ、兄貴がいるんだけど・・・なんか《オーバーロード》の研究でもしてたんじゃないかな。オレも兄貴に教えてもらったんだよ。精神崩壊とかもありえない話じゃないってさ」
そうーーーオレはこれまで10回に満たないとはいえ、何度か《オーバーロード》を使ってきた。発動時間や脳にかかる負荷を考えながら気をつけて使ってきたけど、もしかしたらオレは精神崩壊までどんどん近づいてるのかもしれない。でもーーー
「それでもオレはやる。仲間や何の罪もない人たちが死ぬなんて・・・そんな理不尽なことが、もう二度と起こらないために」
誰かが消えちまう光景なんて、もう見たくねえから。
「そろそろ行こう。援護は頼むぜ」
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