旧校舎のディアボロス
新たな住人
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ど、溜息をついてイスに座りなおした。
「・・・分ったわ。あなたがそこまでするなら、それなりの理由があるのよね?」
静かに問いかける部長。でも、その視線は鋭く棟夜を見ていた。その視線に臆することなく棟夜は真っ直ぐ見る。
「まぁな。納得させる材料がなけりゃここには来ないよ」
そう言うなり、棟夜は黒歌の過去について話し始めた。
「これが、黒歌がはぐれ悪魔になる前のものだ」
・・・俺は言葉が出なかった。悪魔に引き取られた姉妹。黒歌と小猫ちゃんだ。幸せな日々かと思ってたけど、その主が無理やり小猫ちゃんを強化しようとして、黒歌がそれを止めた。でも術が自分にかかり暴走。そして主とその眷属を殺してはぐれ悪魔になった。これが黒歌と小猫ちゃんの過去・・・酷すぎる。
中でも、一番困惑してたのは小猫ちゃんだった。
「・・・姉さま・・・私を見捨てたんじゃないんですか?」
声を震わせ、目元に涙が浮かんでいた。
「バカ! 見捨てるわけ無いじゃない!! 冥界から逃げ延びて、白音に会いたい一心でここまで来たのよ。あなたがいなくなって、私がどれだけ心配したと思ってるの?」
黒歌は涙声で小猫ちゃんに近づき抱きしめた。
「・・・あの時、あなたを助けられなくてごめんね。白音」
「!ッ・・・姉・・・さまッ!!」
小猫ちゃんも抱きしめ返し、二人は声を殺して泣き続けた。
「うおおぉぉぉぉん。良かったな〜小猫ちゃん」
「はうぅぅ〜・・・良かったですぅぅ」
ついでに俺とアーシアも貰い泣きしていた。
「何でお前が泣くんだよ」
棟夜には呆れられた視線を向けられた。良いんだよ! こういうのは!!
「・・・まぁ、事情は理解したわ。でも、問題はその悪魔ね。トーヤに報復に来ると言ったのなら一人になった時を狙うかもしれないわね・・・トーヤ? どうしたの」
棟夜は窓の外を見ている。俺も外を見てみたけど、何の変哲も無い青空が広がっていた。何にも無いけど・・・。
「わりぃみんな。ちと用事を思い出したから先に帰らせてもらう・・・そだアーシア、家の鍵だ」
早口に話すと鍵をアーシアに放り投げ、早々に部室から出て行った。
俺はその行動に首をかしげていた。
棟夜side
・・・ハァ。途中で気づいたけど、露骨に殺気飛ばし過ぎだろう。
学校を出て途中で見つけた廃棄工場の中に入る。『入るな!!』と看板が立てられているが、気にしない。
「・・・ここならだれも邪魔は入らねぇ。結界も張ったしさっさと姿を見せろよ」
「チッ。気づいていやがったか」
振り返ると、そこに昨日の悪魔が手に剣を持っていて、殺気を飛ばして睨んでくる。
「あんなバカ正直な殺気に気づかないほど、俺はマヌケじゃねぇよ」
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