ターン73 鉄砲水と死神の黒翼
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『聞いているか、遊野清明!ここで会ったが百年目、俺たち二人の因縁も、そろそろけりつけようじゃねえか!』
校長室に入って開口一番、巨大なモニターから聞こえてきたのは聞き覚えのある大声だった。
僕ら……そう、自分から向こうに残った三沢、そして完全に行方不明となったアモン以外の死んだと思っていた僕ら全員は、デュエルアカデミアで蘇った。少し遅れて帰ってきた十代は何も教えてはくれなかったけど、それでも皆、なんとなくわかった。きっと、彼に救ってもらったんだろう。僕があれだけ手を尽くして、新たな力を手に入れてまで戦い抜いてもできなかったことをやってのけたんだから、まったく大したヒーローだ。
そしてそれから、もう数週間が過ぎた。最初は情報統制の解除や事後処理に追われて忙しかったアカデミアにも平和な日々が戻り、随分久しぶりにまともな学生生活が始まろうとしていた。
その矢先である。僕と……それと万丈目が、校長室に呼び出されたのは。レッド寮の改造、学生の身でありながら大っぴらな商売と、やましいことと後ろ暗いことしかない僕だけならまだしも、万丈目とは珍しい。なんだろうと首をひねりつつ2人して繰り出し、そして冒頭に戻る。
それにしても、相変わらずこの男はやかましい。モニターの中で無意味に胸を張る、忘れもしない顔……ノース校の現トップにして元サンダー四天王の頭、鎧田の顔を見ながら思ったことは、多分僕も万丈目も同じだったろう。
「今朝、ノース校からこんな映像が届きました。どう思いますか、2人とも?」
そこで一度映像を止め、鮫島校長が呆れと諦め、そして面白がっている雰囲気がないまぜになった表情で入ってきた僕らを見る。
「いや、どうと言われても……」
「それで、校長。鎧田の奴、一体なんでこんなものを送ってきたんです」
反応に困る僕に変わり、万丈目がもっともな疑問を口にする。それもそうだろう、と頷いて校長が再生ボタンを押すと、よほど全力で叫んだらしく少しスッとした顔になった画面の中の鎧田も再び喋りだす。なんだ、まだ続きがあるのか。
『あースッキリした……で、だ。今年もやろうぜ、毎年恒例の俺らノース校と、お前らアカデミア本校の対抗合戦をよ。はっきり言っておくがな、清明。どうせこれ見てんだろ?俺とお前の戦績は1勝1敗、こりゃあどうあっても俺たちの卒業前に決着をつける必要がある。ここまで来て引き下がるようなら、それは男じゃねえからな』
「1勝1敗て……洗脳状態の時までカウントすんの?」
「言ってやるな。あいつは2年前からそういう男だった」
そんな会話をする僕らのことなど、当然画面の中の彼は知る由もない。
『……ただまあ俺らだって何かと忙しいんだ、あんまり派手にお前ら本校の相手してやれるほど暇じゃない。そこで、だ。今年は無駄
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