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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
55.漆黒の乱入者
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如として現れたローブの人物。何か因縁がある様に対立する金髪の吸血鬼。そして柚木を逃がそうとするわけ。
するとローブは周りを浮遊している“
無式吸型刃
(
アブソー・メサ
)
”のうちの三本を掴むとそのまま金髪の吸血鬼めがけて投げた。
ダメだ。そんなことをすれば、“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の眷獣が相手の手に回ってしまう。止めなければいけない。しかし、考えに反して体は言うことを全く効いてくれない。
それは一直線に彼の体へと突き刺さった。
「グァァァxaaaaaaaaa───ッ!?」
金髪の吸血鬼が苦痛の声を荒げる。
やはり彼はもう限界に近かったのだ。それを無理やり絞り出した魔力で戦い続けていた。そんな体に新たな眷獣を植え付けることがどれだけ無謀な事かなど考えるまでもなくわかる。
このままでは彼の身体は間違いなく壊れる。
“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”なった事でどれだけの不死性を会得したかはわからない。
だが、それでも“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”は同種を殺すことでその力を蓄えていく吸血鬼。
ならば、その眷獣が宿主と認めなかったら場合は……
「ソレデ、死ヌホド、貴様ノ身体ハ、弱クハ作ラレテイナイ」
残りの四本を投げようとしたその時だった。
どこからともなく出現した灼熱の火柱がローブを呑み込む。
「今度は、なに?」
「随分、好き勝手に暴れてくれるじゃないか」
どこからともなく少女の声が聞こえた。すると柚木たちのすぐ目の前に虚空からそれは姿を現した。
宝石のような淡い緑色の髪。深い湖のような翡翠色に輝く瞳。その表情には見た目の若さには合わない野生的なものを感じた。
「何故、ココニ」
「この祭典は
余
(
わたし
)
としても少し特別なものでね……原初の生き残りよ」
ローブから初めて動揺が見えた。
「何故、貴様ホドノ吸血鬼ガ、コノ者タチニ、手ヲカス」
「お前のやり方が気にくわないからだ」
少女は口の端で軽く笑い翡翠の瞳で睨みつけた。
彼女から感じられる気配は普通の人から出せるようなものではない。
この少女は只者ではない。それもあの漆黒のローブと同等。もしくはそれ以上の存在だと柚木は直感で感じ取る。
「この祭典は、
此奴
(
こやつ
)
らの
聖戦
(
たたかい
)
だ。その邪魔をすると言うなら───
余
(
わたし
)
が貴様の相手になろう」
圧倒的な魔力が少女を中心に放出され大気を震わせる。それは怒りの感情のように感じた。
一時の沈黙の後にくぐもった声でローブが、
「ヤメテオコウ。ココデ“
混沌の皇女
(
ケイオスブライド
)
”ト戦闘スルノハ、コチラトシテモ、本意デハナイ」
「ケイオス……ブライド……」
聞き間違いなどでなければ、ローブは間違いなくその名を口にした。
“
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