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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
55.漆黒の乱入者
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不敵な笑みを浮かべる。
「本当に全部見透かされてるみたいで気持ち悪いわね」
美鈴は、コートの内ポケットから銀の輝きを放つ物を取り出す。
“
無式吸型刃
(
アブソー・メサ
)
”───眷獣を吸収する銀の刃。
「そんなもんで俺を倒せると思ってんかァ? 随分舐められたもんだなァ!」
美鈴は銀の刃を金髪の吸血鬼目掛けて投げる。
「確かに一本なら厳しいかもしれないわね」
銀の刃に向けて右の拳を突き出す。
拳から腕へと徐々に鮮血が広がっていく。
それと同時に一つのイメージが頭へと流れ込んでくる。
投擲される銀の煌めきが一瞬にして数百を超える数へと増殖する。
眷獣を召喚することなく眷獣が持ち得る権能を操れる吸血鬼はそれほど多いわけではない。
現に柚木もそれを行うことはできない。
「クソ野郎がァ!」
光の縄を引きちぎろうともがくが切れることはない。
もはや彼に避ける術は残されていない。
夢幻は実体を持つ。数百というその全てが“
無式吸型刃
(
アブソー・メサ
)
”の能力を持っている。
あの時の柚木の違和感が本当だとするなら彼の魔力もかなり消耗している。ならば、“
無式吸型刃
(
アブソー・メサ
)
”が相手の眷獣を奪う条件を満たしていることになる。複数の眷獣を所持している相手に行ってどうなるかはわからない。しかし、無傷とまではいかないはずだ。
そして銀の刃が悪意を貫く………寸前だった。
当たる寸前で全ての“
無式吸型刃
(
アブソー・メサ
)
”が何かに拒まれたかのように動きを止める。
そしてそれは一斉に方向をこちらへと向き直し、襲いかかってくる。
何が起きたかわからず反応することができない。
銀の刃は一瞬のうちに柚木の目の前まで到達していた。そこでようやく避けなければと脳が命令を送る。しかし、その時にはすでに避けられるような距離ではなかった。
「柚木ちゃん!」
美鈴の叫び声とともに柚木の身体に覆いかぶさる。
「美鈴さん!」
「……大丈夫だから、ね」
力無い笑みを浮かべる美鈴の背中には無数の刃が突き刺さっていく。
このままでは彼女は……
柚木が右の拳を握りしめたその時だった。美鈴がそれを制止させるように左手で覆う。その手はもう冷たくなりかけていた。
「後のことは……任せた、わよ、……ゆず、き……ちゃ、ん」
刃の雨が終わったとほぼ同時に美鈴の身体は地面へと崩れ落ちた。
「み、すず、さん………美鈴さん──ッ!」
倒れこむ美鈴に身体を揺するが動く気配がない。それどころか体温がもうほとんど感じられなくなっている。
「そんな……嫌、です。目を……目を開けてくださいよ」
“
無式吸型刃
(
アブソー・メサ
)
”による眷獣の吸収ならば死ぬことはない。しかし、南の時とは明
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