暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
55.漆黒の乱入者
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力の差は歴然。一人では倒せないかもしれない。
それでも、ここで諦めればここまでの皆の意思を無駄にすることになる。それだけはしてはいけない。
ここで柚木が取るべき、最善の行動は……

「……まだだ」

「あァ?」

「アテーネ!」

叫ぶ。その声に黄金の梟が応え、自らの翼をより一層輝かせる。“真実を語る梟(アテーネ・オウル)”は光の粒子の軌跡を描く。
意思を持つ武器(インテリジェント・ウェポン)”の眷獣は変わらず、“真実を語る梟(アテーネ・オウル)”を追尾する。
光の軌跡に触れたその瞬間、刃の動きが静止する。
そしてそのまま魔力の粒子となって消失を始める。

「無力化の能力を光の粒子に付与(エンチャント)しやがったかァ」

触れたもの全ての魔力を無へと還す黄金の翼。そこから生み出された光の粒子は同じ力がもたらされる。
いくら相手が眷獣と言えども魔力の塊ということに変わりはない。

「それで俺のヘラを消せるっつうなら厄介だがな……それが無理だからテメェは俺に勝てねェんだよォ!」

奇声をあげながら、無数の蛇を操る化け物が動き出した。
柚木があの眷獣に勝つことはできない。しかし、眷獣に勝てなくとも金髪の吸血鬼を倒して仕舞えば、この祭典(たたかい)は終わりを迎える。
それならばわずかでも勝機が見える。
相手も魔力減少が起きているのは確実。
それならば、ほんの少しでも隙が生まれれば……
その瞬間だった。頭に一つのイメージが流れ込んでくる。
突進してくる“大蛇の母体(ヘラ・バジリスク)”と金髪の吸血鬼の身体を光の縄が搦め捕り、身動きを封じている。
この現象は……

「クソがッ! まだ息がありやがったのかァ!」

欠損していたはずの左腕に膨大な魔力が集まっていく。それは鮮血に染まった腕を形成し、無数の蛇に包まれている美鈴の身体を殴りつけた。
地面が砕け散るほどの強烈な一撃。
覆っていた蛇もろとも美鈴の身体が跡形もなく消える。それと同時に“大蛇の母体(ヘラ・バジリスク)”と金髪の吸血鬼の身体を無数の光の縄で縛られていく。

「これって……」

「よく耐えてくれたわね、柚木ちゃん」

声のした方へと振り返る。今にも倒れそうなほどボロボロになった姿の美鈴がそこにいた。
生きていた、という安堵感から身体中の力が抜けそうになる。

「息があったんじャねェな……ハナから俺に突っ込んできたァ、テメェがフェイクだったってわけか」

憎々しげに体をジタバタさせながら光の縄を引き千切ろうとするがビクともしていない。

「さすがね。一瞬でそこまで気づくなんて」

「だが、テメェもわかってんだろォ? この縄があと数分もすれば跡形もなく消えるか俺の眷獣が引きちぎるれることくらい」

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