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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
55.漆黒の乱入者
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それでも召喚できる数には限度があるはずだ。
そして、先程から感じていたこと。先程からの戦いやアレイストたちに致命傷を与えているのもその全てが“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の眷獣である蛇の眷獣が全てを行なっている。
つまり、金髪の吸血鬼は大蛇の母体を好き好んで決める時などに使っている。もしくは……あの眷獣以外の眷獣は完璧には使いこなせていないのではないか。
前者ならば、最悪のケースだが後者ならば、こちらにも勝機は見えてくる。
「───来なさい、“
神光の狗
(
アポロ・ガン
)
”!」
太陽の如き輝きを放つ狗が大蛇の母体めがけて一直線に駆ける。
「そんな回復しか取り柄のねェ眷獣ぶつけても俺の眷獣には傷一つつけれねェよ!」
「……だといいわね」
美鈴が不敵な笑みを浮かべる。
それとともに“
神光の狗
(
アポロ・ガン
)
”は自らの輝きを“
大蛇の母体
(
ヘラ・バジリスク
)
”へと向けて浴びさせる。
“
神光の狗
(
アポロ・ガン
)
”が使役する能力。圧倒的な回復。それは回復というよりは時間の逆行という形に近い。
全ての傷を癒し、全てを無へと還す優しくも破壊的な“
神光の狗
(
アポロ・ガン
)
”が与えられた権能。
その光が降り注げば、いくら圧倒的な悪意を持つ眷獣であったとしても、元の魔力の塊へと還すことができる。
そうすれば、彼は最も信頼する眷獣を使用できなくなる。予測しきれないところが多い金髪の吸血鬼であっても少なくとも消滅直後の召喚はできないはずだ。
「……そういうことか。腐っても神々の眷獣なだけはある。だがな……」
金髪の少年の口角を吊り上げて微かに微笑む。
「俺にそんな小賢しい戦術が効くと思ってんのかァ!」
破滅の光に包まれ、悲鳴をあげながらも“
大蛇の母体
(
ヘラ・バジリスク
)
”は両腕を巨大な蛇へと変異させる。それは一直線に“
神光の狗
(
アポロ・ガン
)
”へと伸びる。
回避することはできない。“
神光の狗
(
アポロ・ガン
)
”の体に二つの大蛇の顎が深々とえぐりこまれた。
「アポロ、もう少しだけ頑張ってちょうだい!」
美鈴の右腕は再び鮮血をまとう。
魔力の塊は徐々に無数の泡へと変化し、白兎の姿を形成していく。
現れては消え、また現れる。無限にして有限。夢幻にして幽幻な触れることさえできないような存在。
出現と同時に無数の泡は増殖をし、その質量を膨張させていく。
それと同時に頭の中へと一つのイメージが流れ込んでくる。“
神光の狗
(
アポロ・ガン
)
”に噛み付いている大蛇の顎が浄化されて消失する。
「もうその手はくわねェよ!」
その瞬間、金髪の吸血鬼は右手に拳を固めて自らの左腕を殴りつけた。膨大な魔力を帯びた右手から放たれた拳は、まるで刃物にでも切られたように左腕を吹き飛ばす。
鮮血がほとばし
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