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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
55.漆黒の乱入者
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びこの世界に現出された“真実を語る梟(アテーネ・オウル)”が柚木の意思をくみ取って金髪の吸血鬼へと向かって羽ばたく。

「結局ただの特攻かよ! そんなんじャ、俺に傷一つつけられねェっていい加減気づけェ!」

薙ぎ払われた右腕の鮮血から現れた剣先が大きく湾曲した全長が二メートルは超えるような剣。柄の部分も剣に比べれば長い。剣というよりは鎌に近い形状をしている。
あれも眷獣の一種。
───“意思を持つ武器(インテリジェント・ウェポン)
使用者とは独立した知性を持っている武器。第三真祖、“混沌の皇女(ケイオスプライド)”が従えていることが多い眷獣。
この少年は一体何体の眷獣を所持しているのだろうか。
神意の暁(オリスブラッド)”が従えている眷獣以外にも眷獣を所有している。そのどれもが神の眷獣に劣らないほどの力を持っている。
その上、あれだけの眷獣を連続して召喚し、消滅までもさせられているのに一向に切れる気配のない異常なまでの魔力貯蔵量。何かしらの細工がなければこんなことできるはずがない。
これだけのことを人工的な力を使わずに天然の人そのものの力でやっているのだとするならば、そんな化け物をいくら束になってかかろうとも倒すのは不可能だろう。
金髪の吸血鬼は不敵な笑みを浮かべながら、剣を振るう。

「避けて、アテーネ!」

振るわれる刃を回避するように黄金の梟は上昇する。

「……避けれると思ってるのかよォ」

しかし、刃の形状が変化し、黄金の梟を追尾してくる。
これが“意思を持つ武器(インテリジェント・ウェポン)”の厄介なところだ。所有者の意思とは別の自己判断によって攻撃も防御も行う。
このままでは、いつかは剣の眷獣に“真実を語る梟(アテーネ・オウル)”は追いつかれてしまうだろう。
だが、これでいい。

「今です! 美鈴さん!」

柚木の叫び声が木霊する。

「ええ、あとは任せなさい!」

美鈴が鮮血を右腕に纏って駆け出した。
柚木の役割は、相手の眷獣の誘導。“真実を語る梟(アテーネ・オウル)”での攻撃とこれば、相手は眷獣で迎撃せざる終えない。
それが、“神意の暁(オリスブラッド)”の眷獣であったならそれに越したことはない。しかし、それ以外の眷獣であったとしても敵の戦力は削れる。
この狙いに気づいた相手が次に取る行動は、

「それがお前らの作戦ってやつかァ? 詰めがあめェんだよ!」

金髪の吸血鬼の後方に、出現する大蛇の母体。
普通ならここで取るべきは、“真実を語る梟(アテーネ・オウル)”を追尾している眷獣を解除してから新たな眷獣を召喚する。そうしなければ魔力切れが普通は起きる。
しかし、彼に関しては魔力切れという概念がないように複数の眷獣を召喚することができる。

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