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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
55.漆黒の乱入者
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た騎士だった。
「大丈夫だった、友妃?」
「う、うん。ありがとう」
「全く、彩斗のこととなると平気で無茶なことするよね、友妃は」
「ち、違うよ! ボ、ボクは彩斗君の監視役だからと、当然のことをしてるだけで」
「顔真っ赤にして言われてもね……まぁ、彩斗は譲らないけどね」
無邪気な笑みを浮かべる優麻。
「全く緊張感のない奴らだ」
ため息をつきながら額に手を当てる那月。
しかしすぐに真剣な表情へと変わり、彩斗の方を睨みつけた。
「それで貴様は何者だ?」
那月の言葉に二人同時に視線をそちらへと向ける。
いつの間にか魔力の激流は治り、彩斗は初めのように静かだ。その傍に白い靄のような何かがいる。それは徐々に大きくなり、人型へと変化する。
『そうだな……』
顎のあたりに指を置くような素振りを見せてからこちらを見て、
『しいていうなら亡霊かな』
まるで笑みでも浮かべてるように見えた。
その表情に友妃の胸は締め付けられる。
知らないはずなのに、亡霊と名乗った者を知っている気がする。
もしかして……
『大丈夫ですよ』
亡霊は彩斗の肩に手を置きながら彩斗の方を見やる。
『私はどうせ、ここにも長くはいられません。精々、彩斗が自分の過去の全てを知るまでのあとわずかです』
淡々と亡霊の口から言葉が語られていく。
『きっとこいつは全てを知ったとしてもあなたたちの前では強がっていると思います。それに
現実
(
こっち
)
に戻ればまだやらなきゃいけないことがある。感傷に浸っている猶予もあまりないと思う』
紡がれていく言葉をただただ聞き入るしかなかった。
『だから、もしも……もしも彩斗が道を踏み外したり、迷ったり、弱音を吐いたりしたら、お願いがあるんです』
その言葉はどこか寂しげで、それでいて優しく、温かい言葉。
彼女の言葉。その一つ一つ。その全てが彩斗のための言葉。
友妃は確信した。
亡霊の正体が
彼女
(
・・
)
のなのだと……
そして少女の口から語られた願い……
それは………
「さァ、俺をもっと楽しませるよなァ」
不敵な笑みを浮かべ、緋色の瞳がこちらを睨みつける。恐怖が一気に襲いかかってくる。
しかし、その程度で柚木はもう止まらない。
一度決めた覚悟が鈍ることなどない。
それでも心臓は張り裂けそうなほどに早くなっている。
失敗は許されない。
この絶望的な状況に抗う最後の無謀な賭け。
「もう一度力を貸して、“
真実を語る梟
(
アテーネ・オウル
)
”!」
これまで幾度となく柚木のピンチを救ってくれた相棒の名を叫ぶ。
鮮血に染まった右腕から神々しい光を放つ黄金の梟へと姿を変化させていく。
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