暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Eipic35これからの高町家〜Think of the Future〜
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リシュちゃんも花を入れ、シャルちゃんと一緒にこちらに戻って来て椅子に座った。この後はドクターの冥福を祈りの時間となった。祈っている間、これまでのスカラボでの時間が脳裏を過ってく。

「それではこれより出棺いたします。ご起立してください」

祈りの後にウーノさんがそう告げると同時にドゥーエさん達が柩の蓋を閉めて、黒い布を被せる。地球で言うキリスト式のような葬儀の仕方だ。ウーノさんを除くドゥーエさん達が両側に在る持ち手を取って柩を持ち上げた。そしてウーノさんを先頭にして、ドゥーエさん達、孤児院関係者と子供たち、私たち六課とシャルちゃんやトリシュちゃんと続いて教会から出る。目指すは孤児院と海の間に在る小高い丘の上。

「ドクター。聞こえますか? ドクターの夢でしたよね。自由の身になることが出来れば、海を一望できるところに住みたいと」

「申し訳ないですわ。まさか、死後にその夢を叶えさせることになるなんて・・・」

「もう少し・・・もう1日、生きてくださっていれば・・・!」

「柩に眠る遺体ではなく元気なそのお体で、こうして私たちと歩けたかもしれませんのに」

「それが残念でなりません・・・」

ウーノさん達の会話が潮風に乗って聞こえてくる。ドクターの夢。その言葉だけでもう泣けてきちゃう。結局はプライソンの勝ち逃げっていう形で終結したプライソン戦役。本当に悔しい。

「ドクター・・・」

見えてきたのは高さが1mくらいある石碑。ドクターの名前とNew Era 11〜75って生まれ年と没年、Requiescat in pace(ルシル君から、レクゥィエスカト・イン・パーケって読んで、安らかに眠れって意味だって後で教えてもらった)が刻んである。墓石の前にある先に掘られていた穴の中にドクターの眠る柩が収められる。ドゥーエさん達が穴から出て来て、側にあるキャスター付きの道具箱からシャベルを取り出した。

「待ってくれ。まさか、君たちでドクターの柩を埋葬しようと言うのか・・・!?」

ルシル君が慌ててウーノさん達に駆け寄った。ドクターの葬儀には、専門の葬儀屋さんが誰1人として来てない。だからウーノさん達のやり方は、本来の葬儀のものとは違うんだって思う。親族が柩を埋めるなんて聞いたことが無いし。シャルちゃんやトリシュちゃんに目を向けると、私の視線に気付いた2人は首を横に振った。

「これは必要な儀式なのよ、ルシリオン君。父との決別を、娘である私たちの手で行う。しっかりとお別れをして、ドクターを安心させたいの」

ウーノさんの言葉にドゥーエさん達が頷いて同意を示した。それでルシル君は「判った・・・」って引き下がった。

「では皆さん。最後にもう一度、ドクターが安心して天国に旅立てるように黙祷をお願いします」

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