色々な意味で予兆
夜
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……昼の授業が終わって一息ついてから、気付いたことがある。
「……寒い」
今はもう11月だから、当たり前といえば当たり前なのだが……えらく寒い。別に寒さ対策をしてない訳ではないし、教室内は空調が効いているから、決して寒くはないはずなのだが……
「……うう」
なぜか今、俺はやたらと寒い。しかもただ寒いわけではない。なんだか、体中の骨の奥底が冷たい感じだ。自分で言ってて意味がわからないが、とにかくそんな感じがする。骨が冷たいから、体中が冷えて寒くなってる感じ……とでも言えばいいだろうか。
そういえば、マスクを買ってきて身につけてる最中に、大淀さんが、帰り支度をしながら、こんなことを言っていた。
――何かあったら、私のスマホに連絡下さいね
んー……俺が体調を崩していると思っているのだろうか……。ただ寒くて、くしゃみと鼻水が止まらないだけなのだが……。冬になるとよくあるよなぁこういうこと。
しかし、時間が経てば経つほど、身体がどんどんおかしくなってきた。こうやって今、生徒さんの進捗を記入している今も、現在進行中で異常をきたしつつある身体。頭がぼんやりしてきてて、岸田さんの備考欄の記入がだんだん難しくなってくる。
「んー……えぐしっ!? ……ハッ」
気がつくと、岸田さんの備考欄に『アウトライン費を乳母にはチア仏で墓゜』という、読めば読むほど不気味で仕方がない、狂気の呪文が記載されていた。うーん……いつのまにこんな呪いの言葉を記入してたんだ俺は……。音読するだけで身体に呪いが溜まりそうな呪詛の言葉を削除し、俺は事務所の時計を見た。時刻は午後7時5分前。そろそろあいつがやってくるはずだが……。
俺がドアノブに視線を移すと、タイミングよくノブが回り、ガチャリとドアが開いた。その向こうにいたのは、いつもの真っ赤なパーカーを来た川内。赤と紺色のチェックのマフラーつけてるから、外はさぞ寒いんだろうなぁ。やっぱり今日は寒いんだよ。
「せんせーこんばんわ!!」
入ってくるなり、右手を上げてそう挨拶してくる川内。今日はずいぶん普通な登場の仕方だなぁと思いながら、川内の顔をぼんやりながめた。ぼー……。
「ぉおー……どうした川内。今日はえらく真人間じゃないかー」
「いやたまには私も静かに……て、せんせーどうしたの?」
「ん? 何が?」
「いや、だってマスクしてるし」
「ぁあ……いやくしゃみが止まらなくてな……げふんっ」
「せきじゃなくて?」
「そういやせきも出だしたような……?」
「風邪だよせんせー。休んだ方がいいんじゃない?」
これぐらいで休むほど、俺の身体はヤワではないっ! そもそも、授業を休むほどのダメージなぞ、蓄積してはおらぬわッ!! おれは両腕に力こぶを作っ
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