アーチャー
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何故
あぁ、またか。頭の中に直接響いてくる不愉快な声。
何故、何故
もう何度目になるか。
何故、何故、何故
いくら耳を塞いでも聞こえてくる不愉快な声
何故、何故、何故、何故
彼女という存在を無くしてからずっと聞こえる。いや、無くしたというのは適切ではないか。彼女は今も此処にいて、何も話さず、動きすらしないが生きている。
何故、何故、何故、何故、何故
自分でもわかる程の愚か者を、地上の人々はまだ信仰しているのか、私にはわからない。
何故、何故、何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故……何故!何故彼女がそうなってしまうまで追い詰めてしまったのだお前は!答えよ私!
……次があるなら必ず、必ず君を幸せに
彼は自分の隣に佇む一本の美しい木にそう囁いた
***
ある女の話をするとしよう。
美しく聡明で触れるとすぐにでも折れてしまいそうなとても細い女。
しかし彼女の意識はそこにあらず、ただ静かに人の気配が全くない廃ビルの中で王子のキスを待つは姫のように眠っていた。
結論からいうと、彼女は死んでいた。その目には光がなく、身体はとうに冷たくなってしまっていた。ただ一つ魔術回路を残した全ての身体の機能が停止している。
何故魔術回路だけが機能しているかというと…
「思いつきで死んで、身体に戻れなくなってもう3ヶ月か。早いものだ。」
彼女はいわゆる幽体離脱という状況の中にいた。
そうなった原因は遡ること3ヶ月前…
北極で行われるという聖杯戦争の存在を知った彼女…ダプネ・アーカスはその準備を進めていた。
「しかし北極とは面倒な所でこのような大儀式を行うとはな。どうやって行けってんだよ、クソが!」
見た目とは裏腹に女性とは思えない口調で悪態づくダプネは、今できる準備を終え早々と聖杯戦争は望む準備をしていた
が、舞台となる北極への交通手段に悪戦苦闘していた。
「なんで北極なんかでやらなきゃいけないんだよ!しかも北極で英霊なんぞ喚ぼうものなら、召喚の儀式で襲撃されたら詰みじゃねえか!だいたい…あ」
ダプネは何か思いついたような様子で落ち着きを取り戻したようにみえたが、次の瞬間
「そうだよ!霊体になればいいんだよ!そうすりゃ容易に攻撃されねぇじゃん!」
一般人から、いや魔術師からみても頭がおかしい発言を叫んだ。そうして、ダプネは望んだ通り霊体…いわゆる幽霊になったのだが…
「うん、まぁ知ってたよ?人生上手くいく事ばかりじゃねえってことぐらい…でもこれはねぇだろ!運良く身体の魔術回路は使えるものの、それでもそこらの低級ゴーストとほとんど同じじゃねぇかよぉ…」
そうは言っているが、彼女は霊体になってから3ヶ
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